「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは隔週木曜に掲載されます。

2026年9月3日

大雨でアパートが浸水

▼Q 先日の大雨で、私の住むアパートが床上まで浸水しました。大家さんから「修繕工事が必要だから賃貸借契約を解約する」と言われました。短期間の工事で復旧できそうですが、退去しなくてはならないのでしょうか。

▼A 解約に応じる必要はないと思われます。ただし修繕のために一時的に転居しなくてはならない可能性があります。

民法は、このような場合について細かく規定しています。まず、建物が完全に使用不能になった場合は、賃貸借契約自体が終了します。一方、修繕で済む場合は、借主は貸主に対して修繕を求めることができます。逆に貸主から借主に対して修繕をさせるよう求めることもできます。

ご相談のケースは修繕で済みそうです。賃貸借契約自体は終わらず解約にはならない一方、大家さんの修繕の求めには応じなくてはならない、ということになります。一時的な転居をした場合は、その間の家賃を支払う必要はありません。ただ、その間の仮住居の費用(ホテル代など)は、基本的には借主の自己負担です。大家さんにとっても大雨は不可抗力で、貸主の債務不履行がないからです。浸水が大家さんの管理不全が原因の場合には、例外的に仮住居の費用を損害賠償請求できる余地もあります。

近年は急な大雨も多く、いつ被害に遭うか分かりません。復旧に向けて法律の知識が必要な際は、弁護士にご相談を。県弁護士会では、ナビダイヤル=(0570)783552(なやみここに)=で予約できます。

西日本新聞 9月3日分掲載(藤野七海)

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