「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年2月3日

髪の色、生まれつきでも校則違反?

▼Q 中学生の娘は生まれつき明るい茶色の髪です。ですが、校則違反なので染めるようたびたび注意を受け、学校に行けなくなりました。中学校の校則で、どうしてここまで制限するのですか。

▼A 最近、ツーブロックやポニーテールなどの髪形を禁止したり、下着の色まで決めたりと、細かすぎる校則が話題になっています。学校は「中学生らしさ」を根拠にそのような校則を定めるようです。しかし、学校の役割は、生徒たちが学校生活を通じて多くのことを学び、人格および能力を最大限に発達、開花させることです。その過程では、生徒は一人の人間としてその尊厳を尊重されなくてはなりません。これらは憲法や子どもの権利条約で保障された権利です。

もちろん、学校は教育目的や共同生活維持のため、本当に必要な校則であれば定めることも許されるでしょう。それでも、生まれつきの髪の色を染め直させる必要はありません。ましてや、そのために大事な個性が否定され、学校に行けなくなってしまうなど、本末転倒でしかありません。

そもそも、一番影響を受ける生徒が校則の決め方に十分関わっているのでしょうか。学校が考える「中学生らしさ」だけで決めるために、不合理な校則が生まれるのではないでしょうか。

福岡県弁護士会は、福岡市立の中学全69校の校則について調査を実施。20日に同市内で開くシンポジウム「これからの校則」で報告します。オンラインを含め、誰でも参加可能です。詳しい情報は県弁護士会ホームページに記載しています。ぜひ、ご参加ください。

西日本新聞 2月3日分掲載(佐川民)

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