「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2016年2月17日

行政処分に執行停止申し立て

▼Q 建築士をしている夫が不本意な業務停止処分を受け、全ての仕事をキャンセルして返金しなくてはならなくなりました。裁判で争うとしても当面の蓄えもないし、夫の収入が途絶えれば家族は路頭に迷ってしまいます。

▼A 行政による処分に不服がある場合には、処分の見直しを求める裁判をすることが可能です。しかし、一般的に判決が出るまでには時間がかかり、ご質問のケースでは判決を待つ時間的余裕がありません。

このように、行政処分によって生活が破綻する恐れがある場合には、判決が出るまでの間は処分による影響が生じないように、裁判所に申し立てること(執行停止の申し立て)ができます。

これは業務停止処分に限らず、生活保護を廃止されてしまった場合や、公務員が免職処分を受けてしまった場合など、処分により「重大な損害」を被る恐れのあるさまざまな場合に活用されています。裁判には時間がかかるからと諦める必要はありません。行政を相手取った訴訟や執行停止申し立ては専門知識を必要としますので、まずは弁護士に相談してみてください。

福岡県弁護士会では、行政問題について毎月1回、無料相談を実施しています。次回は3月12日午前11時~午後3時、電話相談=092(724)2644=と、面接相談(要予約)があります。面接相談の予約は電話=092(741)6416=へ。お気軽にご相談ください。

西日本新聞 2月17日分掲載(山本哲朗)

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