「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは隔週木曜に掲載されます。

2025年11月20日

生活保護、兄の支援必要?

▼Q Q 福祉事務所から突然「扶養届書」の提出を求める手紙が届きました。疎遠な兄が生活保護を申請したようです。私の経済状況まで聞かれています。仕送りをしないといけないのでしょうか。

▼A A 生活保護の申請があると、福祉事務所は、申請者の親族に、申請者を支援できるか確認するため、扶養届書の提出を求めます。お兄さんが生活保護を申請したため、あなたに封書が届いたのだと思います。もし、あなたがお兄さんに仕送りをするなど金銭的な支援をする場合は、生活保護費の支給よりも、あなたの支援が優先されます。

もっとも、兄弟姉妹に経済的な余裕がないのに、申請者を扶養する義務を負わされることはありません。支援できないことを記入して扶養届書を提出してください。そうすれば、福祉事務所があなたに対して、お兄さんを経済的に支援するよう求めることはありません。安心してください。

あなたがお兄さんに対してできるのは、経済的な支援だけではありません。例えば月に1回、安否確認の電話をする。お兄さんに何かあった際の緊急連絡先になる。それも立派な支援です。無理のない範囲でできる支援がある場合には、それを扶養届書に書いて提出することを勧めます。

日本弁護士連合会は26日午前10時~午後8時に全国一斉生活保護ホットライン=フリーダイヤル(0120)158794=を開設します。生活保護について分からないことや、不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

xxx

xxx

西日本新聞 11月20日分掲載(眞鍋彰啓)

目次