「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2016年1月27日

財産管理 成年後見制利用を

▼Q 息子は精神障害の診断を受けています。最近働き始めましたが、給料をもらうとすぐにパチンコや飲酒などで使ってしまいます。本人も浪費はやめたいと言っています。浪費を防ぐ方法はありませんか。

▼A 給料は、ご子息が自分で稼いだものです。健全な判断能力で浪費しているなら、防止する法的手段はありません。本人と話し合ったり、支援者が監督したりしてみましょう。

もし、ご子息が将来の経済状況を的確に判断できず、適切に財産管理できないために浪費をやめられないのなら、成年後見制度の利用を検討できます。

成年後見制度とは、契約などに関する意思決定が困難な人のため、生活に必要な意思決定を代行・支援する制度です。本人の判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助があり、親族や専門職(社会福祉士、司法書士、弁護士など)が後見人・保佐人・補助人となって、身上監護と財産管理を支援します。

ご子息は判断能力があるようですので、補助の利用を検討してみましょう。補助人に社会福祉士が選任されれば、財産管理を中心に生活全般を支援してもらうことで、浪費を防げるかもしれません。補助の利用には本人の同意が必要ですが、ご子息も浪費をやめたいようですので、同意は得られるでしょう。

成年後見制度は高齢者が利用するイメージがあるかもしれませんが、成人なら年齢制限はありません。必要に応じて利用を検討してみてください。

西日本新聞 1月27日分掲載(西村幸太郎)

目次