「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは隔週木曜に掲載されます。

2025年10月16日

同性婚の成立、法律的には

▼Q テレビで政治家が「同性婚導入には慎重であるべきだ。憲法には結婚は両性の合意によると書いてある」と言っていました。選挙でもよく議論になりますが、法律的にはどうなんでしょうか。

▼A 憲法24条1項が「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し…」と定めた趣旨は、戸主の同意がなければ婚姻できなかった戦前の家制度を否定し、当事者の合意のみで婚姻できるとした点にあります。このような立法経緯を踏まえると、憲法24条の「両性」とは「男女」ではなく「婚姻の当事者」という程度の意味であり、当事者2人の合意「のみ」で婚姻が成立すると定めたことに意味があると考えるのが一般的です。これを前提とすれば、憲法24条に関係なく、同性婚を認めることができます。

実際に、同性間で婚姻できないことが憲法に反するか争われた裁判では、訴えの起こされた5カ所の高裁全てで「同性同士に婚姻関係を認めないことは違憲」との判断が示されました。

裁判所は、同性間の婚姻を認めることは憲法24条となんら矛盾しないと判断しています。むしろ「同性カップルにも早く民法・戸籍法を改正して婚姻を認めなければならない」というのが見解です。

11月1、2日には福岡市の天神中央公園で「九州レインボープライド」という性の多様性に関する九州最大規模のイベントが開かれます。同性婚だけでなく、さまざまなセクシュアリティーについて学べる貴重な機会です。福岡県弁護士会もブースを出す予定です。ぜひ足を運んでお気軽にご相談、ご質問ください。

西日本新聞 10月16日分掲載(石井謙一)

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