「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2023年2月8日

難民と避難民の違いは

▼Q 戦禍を逃れてウクライナからやってきた人は「避難民」と呼ばれているようです。「難民」とはどう違うのですか。

▼A 日本も加入している難民条約では、難民を「人種、宗教、国籍若(も)しくは特定の社会的集団の構成員であること又(また)は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがある」などの条件に該当する人だと定めています。日本で正式に難民と認定されると、定住者の在留資格が与えられ、就労も認められて自活への道が開けます。ただ、日本で難民として保護される人は、日本へ逃れてくる人のうちのごくわずかです。在留資格すら与えられず、滞在が認められない場合も珍しくありません。

2022年8月、アフガニスタンで復権したイスラム主義組織タリバンから逃れてきた98人が難民認定されました。日本ではかつてないほどの大量認定であったといわれており、まれなケースです。

現在、日本はウクライナ人を2千人以上受け入れていますが、難民と認定されたわけではありません。人道的配慮から特別に滞在を認められている避難民に過ぎないのです。

また、同じように人道的配慮が必要な場合であっても、出身国などによって取り扱いが異なっている実情があります。

難民認定手続きは出入国在留管理庁で行うのですが、認められなかった場合は訴訟で争う必要があります。そうした人たちを全国各地のNPOや弁護士が支援しており、福岡県弁護士会でも外国人無料法律相談を実施しています。電話=092(737)7555=で予約してください。

西日本新聞 2月8日分掲載(岡部信政)

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