「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2020年9月30日

自宅購入前 水害の危険性知りたい

▼Q 自宅の購入を考えていますが、近くに大きな川があり水害などが心配です。事前にどれくらい危険があるか調べられますか。

▼A 最近は想定していなかったような降水量になることが多いですよね。従来はダムを造ったり、大きな堤防を造ったりすれば水害は防げると考えられてきましたが、これまでの治水政策では対処できないケースが増えてきました。今は、住民自らが災害の危険性について考え、早めの行動をとることも求められています。

自身や家族の命を守るため、事前にリスクを把握し、適切な避難行動がとれるよう水防法は国と都道府県に、洪水で大きな被害が出る可能性がある河川を指定し、浸水想定区域図をまとめることを義務付けています。また区域内にある市町村は浸水想定区域図を基にハザードマップを作り、住民に知らせることになっています。

この洪水ハザードマップには、想定される最大規模の降雨で河川が氾濫した時の、浸水エリアや浸水の深さ、避難場所などが記されています。現在の居住地や転居を考えている土地にどれくらいの危険性があるか、どこに避難すればよいかが一目で確認できます。

水防法の改正で高潮や雨水出水のハザードマップも作成されることになりました。今年8月から宅地建物取引業者には、宅地や建物の購入者らにこれらのハザードマップによる説明が義務付けられています。ハザードマップは自治体のホームページなどで確認できます。

西日本新聞 9月30日分掲載(緒方剛)

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