「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年11月11日

妻に全財産を相続してもらいたい

▼Q 相続について考える年齢になりました。両親はすでに他界し、子どももいません。私の遺産は全て妻が相続すると考えていて問題ないでしょうか。

▼A あなたにきょうだいがいる場合、きょうだいも相続人となるので注意してください。きょうだいが亡くなっていても、その子どもが代わりに相続人となります。これを代襲相続といいます。

きょうだいとの共同相続になると妻の相続分が減ります。また、相続人全員で遺産の分割について協議する必要があり、妻は話し合いを持たなければなりません。あなたが所有する自宅に妻が住み続けるには、きょうだいに相続分のお金を渡さなければならないケースもあります。

妻に遺産を相続させるには遺言の作成が有効です。全ての遺産を相続させる内容にしておくと、相続の手続きも妻だけで可能です。相続人には、必ず受け取ることができる最低限度の財産「遺留分」が認められていますが、きょうだいは対象ではないので渡す必要はありません。

なお、遺言は法律で決められた方式で作成しなければ、法的効力のない単なるメッセージになってしまいます。このような問題もあるので、心配な点は専門家に相談してください。福岡県弁護士会は15日午前10時~正午、福岡市中央区六本松の県弁護士会館で「いい遺言の日市民セミナー」を開きます。事前予約制ですので、県弁護士会のホームページで確認するか、電話=092(741)6416=でお問い合わせください。

西日本新聞 11月11日分掲載(松下真樹子)

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