「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2019年3月6日

夫の束縛や暴言がひどい

▼Q 夫は私が外で働くことに反対し、友達と外食しても文句を言い「俺が養ってやっている」などと暴言を吐きます。窮屈な生活が嫌で、先日、別居に踏み切りました。夫に不倫や暴力などの問題がなくても離婚できますか。

▼A あなたの夫の言動は、単に自分の意見を述べることを超えて、あなたの行動や選択を不当に制限し、あなたの人格権を侵害しているといえます。背景に、身内の女性を所有物のように捉え、女性の人格を軽視する価値観や差別意識がある場合もあります。

離婚するには、話し合いや家庭裁判所での調停をすることになりますが、それでも夫が離婚に応じない場合は、裁判をする必要があります。一般的には、長年の別居で夫婦関係の実体がなくなったことや、別居の原因となった夫の言動が夫婦関係に与えた悪影響を証拠によって証明し、夫婦関係が修復不可能と認められれば、離婚が認められます。

あなたの夫のように、日本には「女性は家にいて家事や育児に専念すべきだ」と考える人がおり、女性の社会進出を阻んでいます。世界経済フォーラムが昨年発表した日本の男女平等指数は、収入格差などが響き、調査対象149カ国のうち110位。先進7カ国では最下位でした。

3月8日は、国連が女性の差別撤廃や地位向上を呼び掛けて定めた「国際女性デー」。啓発イベントに足を運び、自分らしい生き方を見つめてみるのもいいかもしれません。

西日本新聞 3月6日分掲載(石田淳)

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