「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2020年3月25日

勤め先の中小企業が残業多い

▼Q 勤め先の中小企業は残業が多いです。法律で残業が規制されるそうですが、減るでしょうか。

▼A 長時間労働は、健康を損ない、仕事と家庭の両立を困難にします。過労死の原因にもなっています。このため働き方改革の一環で労働基準法などが改正され、大企業は昨年4月から、中小企業は今年4月から、時間外労働(残業)の上限が原則「月45時間、年360時間」になりました。「臨時的な特別の事情」がなければ超えてはいけません。臨時的な特別の事情とは、予算や決算の業務、大規模クレームや機械トラブルへの対応などを指します。

そうした事情がある場合は、特別条項付きの労使協定(三六協定)を結べば、年6カ月まで月45時間を超えられます。ただ(1)時間外労働が年720時間以内(2)時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満(3)合計の2~6カ月平均が全て月80時間以内―の3点を満たさなくてはいけません。

4月以降、あなたの勤め先の残業がこれらの条件を満たしていない場合は、法律違反の恐れがあります。法には「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」との罰則もあります。残業が減らないのであれば、自身の状況を示し会社に聞いてみるといいでしょう。

ただ自動車運転業務や建設事業、医師などは規制の適用を2024年3月末まで猶予されています。新技術や新商品の研究開発業務も適用を除外されています。

福岡県弁護士会は、労働問題について対面相談を無料で受けています。予約電話=(0570)783552。

西日本新聞 3月25日分掲載(山口高志郎)

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