「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2014年11月12日

親権 子どもの福祉を最優先

▼Q 私は就学前の子どもを持つ母親で今は専業主婦です。離婚を考えており、子どもの親権をとりたいのですが、離婚後に無職、無収入になる私は親権者になれないのでしょうか。

▼A そのようなことはありません。合意ができない場合、どちらの親が親権者としてふさわしいかは未成年者の利益を最優先にして家庭裁判所が判断します。収入状況は、その判断要素の一つにすぎません。

どのような基準で判断するのか。離婚に至るまでの子どもの養育や健康への配慮、しつけや教育など子どもとの関わり合いがどの程度かを見ます。両親の収入や就労状況、実家などからの経済的支援も考慮。子どもが10歳前後で意思を表明する能力があればその意思も一定程度尊重されます。

非親権者の所得が高い場合、その所得に基づき算出された養育費を支払う義務を負います。収入不足は児童扶養手当など行政からの援助を利用して補うこともできます。子どもの福祉の観点から家庭環境や子どもの年齢、成熟度合いなどに応じたさまざまな要素を考慮して親権者を決めます。

福岡県弁護士会では北九州市立男女共同参画センター(ムーブ)と共催で、25日午前10時~午後5時に「女性の権利110番」を開催します。093(583)3331か3663へ。

西日本新聞 11月12日分掲載(渡辺 晶子)

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