「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2022年11月2日

「アウティング」不法行為にも

▼Q 大学のサークルの親友から、ゲイだと告白されました。サークルで親友が居づらくならないように、親友のことをメンバーにもきちんと理解してほしいのですが、このことを話してもいいのでしょうか。

▼A 本人の承諾を得ずに、公にしていない性的指向や性自認に関する秘密を暴露する行為を「アウティング」といいます。人には、これらの秘密を自ら管理し、むやみに暴露されない利益というものがあり、法的に保護されています。

そのため、親切心からのアウティングであっても、プライバシーの侵害などの不法行為にならないとはいえません。仮に、あなたの行為が不法行為に該当しないとしても、相談もなく秘密を第三者に明かせば、親友を深く傷つけてしまうかもしれません。何よりも親友の気持ちが一番大切なので、あなたが勝手に話すことを決めずに、親友と話し合ったうえで、メンバーに話すか、話すとして誰にどのように話すのかなどを一緒に決めてください。

ここ数年、LGBTなど性的少数者に関する問題は、メディアでも取り上げられることが多いですし、これを機会にあなた自身が性的少数者に関する知識を付け、親友を理解する努力をされてみてもいいかもしれません。

11月6日には、福岡市博多区の冷泉公園で、性的少数者への差別や偏見の解消を目指す啓発イベント「九州レインボープライド」が開催され、多くの当事者が参加します。福岡県弁護士会でもブースを設けて無料相談をします。ぜひ、専門家の意見を聞いてみてください。

西日本新聞 11月2日分掲載(太田信人)

※このイベントは終了しました

目次