「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年9月2日

息子がSNSで中傷され、心配

▼Q このところ息子がひどく落ち込んでいます。詳しく話してくれませんが、インターネット上で中傷されているようです。万が一のことを考えると、心配です。

▼A 最近、芸能人の自死が相次ぎました。SNS(会員制交流サイト)での誹謗(ひぼう)中傷や親族関係などが報道されていますが、極限状態に追い詰められる前に助けられなかったのか―。これは残された遺族が抱かれる、答えの出ない問いかもしれません。

自死には借金や家族の問題、他人からの中傷など、さまざまな背景があるでしょう。こうした問題の多くは法律や医療の分野から対処が可能であり、適切な対応で逃げ場のない状態から救い出せるのではないかと考えます。また、自死の原因は一つとは限りません。複数の原因が複雑に絡み合っているケースもあります。その場合は原因の解明のみならず、原因を個別に整理することも必要でしょう。

現在、法律や医療、行政などの専門家が連携し、どの分野から相談しても適切な専門家が対応できるようネットワークがつくられています。命は失われてからでは取り返しがつかない、最も大切なものです。息子さんを心配されているのであれば、早めに相談されることをお勧めします。

福岡県弁護士会には自死問題支援者法律相談制度があり、親族の方などからの申し込みがあれば、心理の専門職と連携する担当弁護士が対応しています。どこに相談すべきか迷われていたら、まず弁護士会に問い合わせてみてください。

西日本新聞 9月2日分掲載(安藤明彦)

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