「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2022年1月19日

「18歳で成人」なぜ変わる?

▼Q 現在19歳の大学生です。4月から18歳で成人になると聞きました。何がどう変わるのですか。

▼A 民法の成年年齢が18歳に引き下げられ、今年の4月1日から施行されます。4月1日時点で18、19歳の人は、その日に一斉に成年になります。

大きく変わるのは、親の同意がなくても契約ができるようになることです。一方、お酒やたばこは、これまでどおり20歳からです。

どうして契約できる年齢が変わるのでしょうか。本来、人はそれぞれの判断で自由に契約できるのが原則です。ただ、幼いうちは判断能力が未熟なので、例外として、親の同意がないと契約ができない法律にしています。この例外となる年齢を何歳にするかに正解はなく、妥当な年齢を社会が決めることになります。

日本の成年年齢が20歳と決められたのは1876年のことです。20歳で一人前というのが当時の認識だったのでしょう。それから約150年がたち、社会の状況も変化したので、18歳に変わりました。お酒やたばこが解禁される年齢が変わらないのは、昔も今も未発達の心身に有害なことに変わりはないからです。

なお、女性が結婚できる年齢は16歳から18歳に引き上げられました。これについては、結婚できる年齢が男女で異なるという不自然さをなくす目的が大きいようです。

選挙権の付与や少年法の適用年齢の問題も、考え方は同じです。何歳で一人前と扱うべきかは、場面ごと、法律ごとに違います。社会全体で具体的に考え、決めていく必要があります。

西日本新聞 1月19日分掲載(角倉潔)

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