「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年6月16日

弁護士も自治体の仕事に関わってる?

▼Q 弁護士は地方自治体の仕事にも関わっていると聞きました。どんな仕事をしているのですか。

▼A まず、自治体の「外部の目」としての仕事があります。自治体の活動の根拠は法律です。そこで、自治体のさまざまな活動が法に基づいて適正、妥当に運用されているかをチェックする「外部の目」が必要です。このため、自治体の監査や行政処分の不服審査などに多くの弁護士が関わっています。いじめ調査など、第三者委員会の委員になることも多いです。

次に、自治体の「内部の力」としての仕事があります。代表的なものが、弁護士資格を持ったまま自治体職員になる「自治体内弁護士」です。一定期間だけ自治体職員になる「任期付き公務員」もあります。既に100以上の自治体で弁護士が働いています。

さらに、自治体の「パートナー」としての仕事があります。例えば、自治体の法律相談の多くは、自治体が場所を提供し、弁護士会が担当弁護士を派遣するという形で運営されています。利用された方も多いでしょう。専門的なところでは、虐待対応や債権の回収といった分野でも協力が進んでいます。このような分野では、自治体の実務ノウハウに弁護士の法的知識が加わり、成果を挙げています。

自治体の基本的な役割は、法律によって住民の福祉を増進すること(地方自治法)、弁護士の使命は法に基づき市民の基本的人権を擁護することです(弁護士法)。それぞれの得意分野を生かし、市民の利益のために協力しています。

西日本新聞 6月16日分掲載(服部博之)

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