「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年2月19日

自動車保険は安い方がお得?

▼Q 自動車保険はどれも同じですよね。保険料が安いところが一番お得だと思うのですが・・・。

▼A 自動車保険は付いている特約やサービスが違います。このため保険料だけを見て決めるのは危険です。内容をきちんと確認し、必要な補償をしっかりと受けられるようにしましょう。

代表的な特約には、人身傷害補償特約や弁護士費用特約があります。人身傷害補償は特に大事で、無保険車に追突された場合の自分のけがなどに利用できます。

2018年3月末時点で、福岡県内には約45万台の無保険車が走っています。交通事故が多発しているのに、県内の自動車保険・共済の対人賠償保険普及率は86.6%にとどまっているのです。人身傷害補償を契約していないと、万が一、無保険車にぶつけられてけがを負っても、十分な補償を受けられず、泣き寝入りせざるを得なくなる可能性が高くなります。

また弁護士費用特約は、多くは300万円までの弁護士費用を補償してくれるため、気軽に弁護士に相談し、力を借りることができます。これらの特約を省けば保険料は安くなりますが、いざというときに困ることもあります。

なお最近では、代理店などを介さずに、保険会社と直接契約するダイレクト型自動車保険が増えてきています。一般的に保険料は安いのですが、代理店のアドバイスは受けにくく、内容や必要性を自分で判断しなくてはなりません。

自動車保険を選ぶ際は、専門家の知恵を借りたりして慎重に吟味しましょう。

西日本新聞 2月19日分掲載(澤戸博樹)

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