「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2018年4月18日

暴力団の「みかじめ料」を断るには

▼Q 飲食店の店主です。暴力団の組員に毎月みかじめ料を支払っており、断りたいのですが、仕返しをされないか心配です。また、これまで払ったお金は取り返せるのでしょうか。

▼A 警察、暴力追放運動推進センター、弁護士などにご相談されることをお勧めします。

みかじめ料の要求行為の内容(脅迫行為など)によっては恐喝罪に該当します。警察に被害を申告した場合、最近は被害者が警察に相談したことが分からないように工夫して捜査し、仕返しがないよう配慮してくれます。

警察署によっては、暴力団から金品を要求されていないか一斉に聞き取り調査をしています。この時に被害申告すれば自分の店だけが目立つことがありません。

恐喝罪にはならない場合でも、指定暴力団の組員によるみかじめ料の要求行為は暴力団対策法で禁止されており、公安委員会は組員に中止命令を出すことができます。
命令に違反すると逮捕・処罰されるため、仕返しなどの抑止が期待できます。

過去に払ったものは、支払った証拠があれば法的に返還を請求することができます。領収書がなくても、店の帳簿や、支払うときに自分で作成したメモでも証拠になり得ます。実際に要求した組員に対する請求はもちろんですが、その組員に支払い能力がなくても、所属する暴力団の組長や、指定暴力団のトップに、みかじめ料に相当する損害の賠償を請求することも可能です。

西日本新聞 4月18日分掲載(高松直史)

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