「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2013年8月21日

自宅手放さず借金整理

▼Q 1千万円の借金があり、返済が滞っています。まだ住宅ローンが1500万円も残っているのに・・・。家を失わずに借金を整理できますか。

▼A 個人再生手続きを取る方法があります。負債額が大きくて払えない場合、解決策の一つとして、全ての債務が免除される自己破産手続きもありますが、住宅ローンが残っていると競売にかけられたりして自宅を失うことになります。

個人再生手続きだと自宅を手放さずに負債を整理できます。借金を5分の1~10分の1程度に圧縮し、その額を原則3年間で分割払いします。それを超える部分は、支払いが完了すれば免除されるのです。ただし、住宅ローン部分は圧縮されません。

例えば質問の場合、1千万円の借金が原則5分の1まで圧縮されるので、200万円を3年間で分割払いします。住宅ローンの1500万円は、残高に変更はなく、従前の条件で支払っていくことになります。

圧縮額は事案によって異なりますが、目安としては、債務が500万円未満は100万円に▽500万~1500万円未満は5分の1に▽1500万~3千万円未満は300万円に▽3千万~5千万円以下は10分の1に-。5千万円を超えると「個人再生」を利用できません。

住宅ローンの返済は原則従来通りですが、支払いが難しい場合、再生期間中の返済額を少なくしたり、返済期間を延ばしたりして条件の変更もできます。

こうした方法で、自宅を失わずに借金を整理できます。福岡県弁護士会は多重債務相談に無料で対応しています。ぜひご利用ください。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)。

西日本新聞 8月21日分掲載(田篭亮博)

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