「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年6月10日

面会交流、今まで通りでいい?

▼Q 調停で離婚が成立し、私が親権者となり子どもと暮らしています。面会交流についても取り決め、月1回行ってきました。ただ新型コロナウイルスが心配で、ここ3カ月は会わせていません。元夫からは会わせるよう求められています。どうしたらいいですか。

▼A 面会交流とは父母の別居・離婚後に、子どもと非監護親(子どもと離れて暮らす親)が会ったりして交流することをいいます。面会交流は子どもにとって「離れて暮らしていても愛されている」と実感できる貴重な機会です。虐待など特別な事情がない限り、面会交流を全く行わないのはよくありません。特に調停や審判、裁判で取り決めた場合、全く会わせないでいると、債務不履行や不法行為を問われ、再び紛争になりかねません。

ただ、新型コロナが完全には収束していないことを考えると、人の多い場所で一緒に買い物をしたり、外食しながら話したりといった、これまでと同じ方法で行うのは難しいこともあるでしょう。子どもを感染から守るため、公園など風通しが良く人の少ない場所を選ぶなどの工夫が必要です。

法務省は、ビデオ電話や電話などを活用した面会交流を提案しています。子どもにとって最善の方法で続けられるようお互い協力することが必要です。直接連絡を取り合って調整するのが難しければ、弁護士などにご相談ください。

福岡県弁護士会は23~29日に県内各地で無料電話相談「女性の権利110番」を開設します。20日の「養育費・ひとり親110番」でも受け付けています。電話番号や時間は同会にお問い合わせください。同会=092(741)6416。

西日本新聞 6月10日分掲載(谷口悠子)

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