「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2016年5月25日

国際結婚は夫婦別姓も選べる

▼Q 私(日本人女性)は米国人男性(姓はスミス)と結婚しようかという話になっていますが、彼は「結婚してもお互いに名前は変えないでいよう。名前はアイデンティティーだから」と言います。日本では夫婦同姓にしなければならないと聞いていますが、彼の言うようなことは可能でしょうか。

▼A 可能です。日本人同士が結婚した場合、夫婦は一つの同じ戸籍に入ることになり、必然的に同姓となります。しかし、外国人は日本の戸籍制度の対象になっていません。

あなたの戸籍の身分事項に「平成○年○月○日アメリカ国籍のスミス(西暦○年○月○日生)と婚姻」と書かれるだけで、どちらの姓にも影響しません。日本でも国際結婚は夫婦別姓が原則です。

逆に、結婚して同姓になりたい場合、どうすればいいのでしょう。あなたが改姓したいなら、婚姻の日から6カ月以内に役所に届け出れば、あなたの戸籍上の姓が「スミス」と書き換えられます(戸籍法107条2項)。6カ月以上たって改姓したい場合は家庭裁判所の許可が必要です(同107条1項)。また、彼があなたの姓に変えたいのなら、米国の法の下で手続きします。つまり国際結婚は同姓も別姓も選択できるのです。

世界では夫婦同姓が法律で強制されている国はほとんどないといわれていますが、昨年12月に最高裁は合憲としました。今後、夫婦同姓を変えるかどうかは国会での議論に委ねられています。

西日本新聞 5月25日分掲載(諫山佳恵)

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