「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2018年10月3日

生物多様性基本法って何

▼Q 私の住む町で生物多様性地域戦略が策定されました。生物多様性基本法に基づいていると聞きましたが、どんな法律ですか。そもそも生物多様性って何ですか。

▼A 地球上には動物や昆虫、植物、細菌など多様な生物が存在しています。これらは互いに直接的、間接的に関わり合っています。

豊かな生物や生態系は、食べ物、紙や建材、清浄な水や大気などさまざまな“資源”を提供してくれます。水害などを防止する役割も担ってくれています。さらに医薬品には植物や海洋生物の成分が使われています。このような生態系による恵み(生態系サービス)があって初めて、人間をはじめとする生物は生きられるのです。この相互のつながりのことを「生物多様性」と呼んでいます。

生物多様性を守り、末永く恵みを利用できるよう、日本など約200の国と地域は生物多様性条約を締結しています。取り組みを国内でも進めるため、2008年に基本法が制定されました。

基本法は野生生物の種の保護、外来種による被害防止、自然資源の適切利用、生物多様性に配慮した事業活動などについて定めています。そして地方自治体ごとの戦略策定を努力義務としています。

あなたの町の戦略はこうして策定されました。福岡市は脊振山地や室見川、北九州市は曽根干潟や平尾台に触れるなど、地域特性や政策によって異なる内容になっています。各自治体でどんな戦略が立てられているか、調べてみるのも面白いかもしれませんね。

西日本新聞 10月3日分掲載(緒方剛)

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