「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年12月2日

校則なぜ守らないといけないの

▼Q 息子の中学校は校則が厳しく、髪形や制服の着方まで決められて嫌だと言います。校則である以上、守るべきでしょうが、どう教えればいいか悩んでいます。

▼A 学校には児童・生徒の日常生活を規律する校則を定める権限もあり、子どもたちは基本的に校則を守らなければなりません。ただ、こうした形式的な答えでは納得できなくて当然です。そこでまず、ルールの目的が何なのかを、自分たち以外の関係者の目線で考えてもらってはどうでしょう。

例えば、制服の着用は、子どもたちには窮屈なだけかもしれません。しかし、学校にとっては児童・生徒が一目で分かり、外部の人間の侵入を防ぎやすいという目的がありそうです。保護者には、家庭環境や経済力による差が生まれず、いじめや差別を防ぐことができ、安心といえそうです。

ルールの目的が理解できたとしても、マフラーの色や靴の指定、制帽などは厳し過ぎるようにも思えます。どの程度のルールなら良いのか、これもルールの目的との関係で判断することになります。

例えば、外部の人間と区別するために服装のルールがあるならば、登下校時に着用するマフラーの色を統一する必要はなさそう。ただ、経済力の差が出ないようにするためなら、華美なマフラーを禁止することも理解できます。

さまざまな価値観を踏まえ、話し合いを通じてルールへの理解を深めるため、福岡県弁護士会は弁護士の学校派遣(オンラインも可)や、ジュニアロースクールを企画しています。機会があれば、是非ご参加ください。

西日本新聞 12月2日分掲載(本江嘉将)

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