「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2017年2月22日

広告で「だまされ」購入、返品は?

▼Q 健康食品の紙面広告を見て持病が治ると思い購入しましたが、効果が感じられず、だまされたのではないかと思っています。返品できないでしょうか。また、広告を載せた業者に何か規制はないのでしょうか。

▼A そもそも健康食品は医薬品と違い、病気が治るといった効果・効能をうたうことはできません。特定の病気が治るということは考えにくいでしょう。

病気が治るかのような広告を見て購入した人が文句を言いたくなるのは無理もありません。

消費者契約法では、勧誘に際して事業者が消費者へ契約上重要な事項について、事実と異なることを告げ、消費者がそれを事実だと誤解して契約を結んだ場合、消費者に契約の取り消し権を認めています。

これまで広告は、不特定多数に向けて働きかける点で「勧誘」に当たるのか不明確でした。しかし1月、最高裁判所は、不特定多数に向けた広告も「勧誘」に該当する場合がありうる、と判断しました。

広告が、消費者に契約しようという気持ちを直接的に起こさせたといえるような場合、「勧誘」に当たるとして、虚偽の説明などを理由に契約が取り消される可能性があります。心当たりがある場合、消費生活センターや弁護士にご相談ください。

一方、事業を営む人にとって広告表現には十分な配慮が必要です。誇大広告には消費者庁などによる処分も行われるので、トラブルになる前に、地方経済産業局や弁護士に相談することをお勧めします。

西日本新聞 2月22日分掲載(吉野泉)

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