「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2015年11月25日

遺産調停 相手方の家裁管轄

▼Q 私は長崎県の離島に住んでいます。亡くなった父の遺産の分け方について、福岡市に住む兄との間で話がまとまりません。調停の申し立てを島の弁護士に依頼しようと考えていますが、相手方が遠く離れた福岡にいるような場合でも依頼することができるのでしょうか。

▼A 以前は離島などいわゆる過疎地には弁護士が一人もいないことも珍しくありませんでした。現在では過疎地への公設法律事務所の設置が進んでいます。ただ、紛争の相手方が遠くに居住している場合、地元弁護士に相談して大丈夫かと心配される方もおられるようです。もっともこの点は離島に限らず、福岡在住の方が東京在住の方と紛争になったというような場合も同じです。

遺産分割調停は相手方の住所の家庭裁判所が管轄するので今回は福岡家裁に申し立てする必要があります。この場合、三つのパターンが考えられます。(1)地元弁護士に依頼し、福岡に出張してもらう(2)福岡近郊の弁護士に依頼し、打ち合わせなどは本人が赴く(3)打ち合わせなどは地元の弁護士と行い、裁判所への出頭などは福岡近郊の別の弁護士に出頭してもらう-。

最近は電話会議システムの導入などで以前に比べれば遠方で裁判手続きを執る際の負担は軽減されています。まずは地元の弁護士にどの方法が一番良いか相談してみてはいかがでしょうか。

◆福岡県弁護士会の相談窓口案内=(0570)783552(なやみここに)

西日本新聞 11月25日分掲載(河合勇治)

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