「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2021年11月24日

全財産をもらって離婚したい

▼Q 結婚して15年目の専業主婦です。中学生の息子が1人います。先日、夫が10年以上浮気していて、相手との間に子どももいることが分かりました。全財産をもらって離婚したいのですが、認められるでしょうか。

▼A このケースでは、あなたからの離婚請求や慰謝料請求が認められる可能性は高いでしょう。しかし、離婚時の問題は、慰謝料だけではありません。

離婚時に決めておくべき主な項目は、(1)慰謝料(2)財産分与(3)親権(4)養育費-などです。

(1)慰謝料は、あなたの精神的損害に対する賠償金です。離婚の原因が相手にある場合に認められます。金額は相手の行為の悪質さなどで決まります。(2)財産分与は、結婚してからつくった財産を分け合うものです。離婚する原因となった側にも財産分与は認められます。

相談のケースでは、慰謝料はかなり高額になりそうですが、全財産を獲得できるとは限りません。また、(3)親権と(4)養育費以外にも、老後の年金をどう分けるかや、あなたの姓を結婚前に戻すかどうかなどの問題もあります。

このような項目を決めておかないと、養育費をもらい損ねるなど、思わぬ不利益を受けることがありますし、精神的負担も倍増します。

迷った場合は弁護士に相談することをお勧めします。30分の法律相談でも、離婚に関する基礎知識や、弁護士に依頼した場合のおおよその費用は説明できます。相談した上で依頼するかどうかは自由です。

西日本新聞 11月24日分掲載(角倉潔)

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