「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2022年11月9日

エンディングノートの上手な使い方

▼Q 80歳の母からエンディングノートを書いたと聞きました。母は安心しているようですが、法的に効果があるのでしょうか?

▼A 最近、エンディングノートを書く人が増えていますね。残された家族に思い出や感謝の気持ちを伝えたり、遺産の分け方の希望を残したり。その形式や内容に決まりはありません。市販のものを使わなくても、手紙の形で書いておくなど自由な方法で構いません。

しかし、エンディングノートには法的な効力がないので、注意が必要です。例えば、お母さんが遺族の1人に多めに財産を残そうとした場合、その分け方では不公平だとしてもめることがあります。エンディングノートに遺産の分け方を書いていても、同意しない人にその分け方を強制することはできないのです。

遺産の分け方を法的に有効な形で定めておくには、遺言を残す必要があります。ただし、原則自筆で書くことなど、法律で定められている条件を満たさないと無効になることもあるため注意が必要です。

お母さんが遺産の分け方で家族がもめることを予防したいとお考えなら、遺言を残しておくのがいいでしょう。作成方法や費用などに不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。エンディングノートや遺言を作成していることと、その保管場所について、家族が分かるようにしておくことも重要です。

11月15日には、遺言・相続全国一斉相談会が開催されます。各地の信用金庫で弁護士などの相談を無料で受けられます。事前予約制なので「遺言・相続全国一斉相談会」で検索してください。

西日本新聞 11月9日分掲載(西沢恭博)

※このイベントは終了しました

目次