「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年1月8日

親子でスマホのルール作りを

▼Q 高校1年の息子はスマートフォンでゲームやネットばかり。いかがわしいサイトも見ているようです。「ルールを守らないならスマホを没収するよ」「俺の自由だ」といつもけんかになります。

▼A 家庭内でルールを決めることの意味を、息子さんと一緒に考えてみませんか。法律の場合は、「目的」と「手段」の両面から「妥当性」を考えます。この考え方を応用してみましょう。

スマホは楽しいだけでなく便利で、知識を広げるのにも役立ちます。それでもルールが必要なのは、長時間使うと勉強や睡眠の妨げになったり、有害な情報に触れる危険性があったりするからです。それらを防ぐため、という目的は妥当と言えそうです。

では手段はどうでしょうか。勉強や睡眠の妨げにならないようにすることが目的なら、必ずしもスマホを没収しなくても、使える時間帯を決めるという手段があります。また、有害な情報に触れることを防ぐのが目的なら、特定サイトへの接続を制限する「フィルタリングサービス」などを利用するという手段があります。

このように、親が一方的にルールを決めるのではなく、目的を共有した上で、手段のアイデアを出し合うという姿勢で話し合いができれば、息子さんも納得するルールができるのではないでしょうか。こうした議論こそ、社会のさまざまな場面で役に立つ「法律的な思考」そのものなのです。

福岡県弁護士会は、具体的な事例で法律的な思考を体験する「ジュニアロースクール」に取り組んでいます。

西日本新聞 1月8日分掲載(渡部裕太郎)

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