「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2020年5月13日

高齢の夫の世話が大変に

▼Q 私と夫はともに75歳で2人暮らしです。夫は脳梗塞で右半身がまひしていて、私が身の回りの世話をしていますが、体力的に難しくなってきました。年金とわずかな貯金しかないので、業者に介護をお願いするのは不安です。

▼A 高齢者と家族を支えていくための制度として介護保険制度があります。ちょうど20年前にできました。介護保険を利用すると、自己負担額は介護サービス費用の1~3割で済みます。

サービスを受けられるのは、要介護・要支援状態と認定(要介護認定)された65歳以上の方ですが、40~64歳でも特定の病気が原因で要介護・要支援状態にあると認められれば対象になります。ご相談のケースは75歳なので、制度を利用できる可能性が高いです。

要介護認定は、本人や家族の申請を受けて市区町村が行います。医師の意見書が必要になるので、普段から診てもらっている医師にあらかじめ相談しておくとよいかもしれません。認定後、実際にサービスを受けるには、市区町村にケアプランを提出する必要があります。ケアプランは、介護支援専門員(ケアマネジャー)が本人や家族と相談しながら作成し、状況に応じて随時見直します。

こうした介護サービスの説明や紹介、日々の困り事など、高齢者を総合的にサポートする拠点として、自治体などが開設している地域包括支援センターがあります。弁護士も連携して法的な助言を行うことがあります。介護に不安があるときは、ぜひセンターに相談してください。

西日本新聞 5月13日分掲載(武寛兼)

目次