「ほう!」な話

2020年4月29日

コロナ対策で憲法論議?

▼Q 全国で新型コロナウイルスへの対応に追われる中、非常時に政府権限を強める「緊急事態条項」を憲法に創設する議論を促進しようという自民党の呼び掛けが、野党などから「悪乗り」と批判されています。なぜですか。

▼A 今は緊急事態宣言に基づき、首相や知事が移動や営業の自粛を要請しています。知事は、臨時医療施設のための土地・建物の使用、食品・医薬品などの売り渡し要請、強制的な収用もできます。

これらは憲法が保障する人権を制約することになるので、本当に必要なものだけに限る必要があります。行き過ぎれば憲法に違反しないかチェックされます。国家権力が国民の人権を侵害した歴史を踏まえ、「国家の活動に縛りをかけて人権を保障する」という立憲主義の考え方から今の憲法ができているためです。法律は国が国民を縛り、憲法は国を縛る、という点で性格がまるで違うのです。

自民党が創設を目指す緊急事態条項では、大規模災害などの際に、内閣が国会に諮らず法律と同じ効力を持つ政令を制定できます。自民党改憲草案には、生命や財産を守るために国や公的機関の指示に「何人も従わなければならない」と記されており、国の行き過ぎをチェックできず立憲主義が揺らぎかねないと指摘されています。特に今は、政府に強い対策を求めたくなる国民の不安を利用しているとして「コロナへの便乗だ」「今議論すべきことではない」と批判されているのです。

5月3日は憲法記念日。こうした観点からも憲法の在り方を考えてみてはいかがでしょうか。

西日本新聞 4月29日分掲載(福留英資)

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