「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2022年3月2日

求人広告「無料」に注意

▼Q 町工場を経営しており、社員を募集中です。無料で求人広告を掲載するという電話がかかってきましたが、利用してよいものでしょうか。

▼A 中には悪質な求人広告もありますので注意してください。代表的なものは、無料のはずなのに、実は無料なのは最初の一定期間のみで、後から高額な掲載料を請求されるものです。数年前から横行していますが、ご存じない事業者も多く、いまだに被害がなくなりません。

その手口の典型は、申し込んだ側が解約しないと自動的に契約が更新され、それ以降は広告料が発生するものです。他に、解約できても高額な解約料を請求される、電話では解約できないなどの手口もあります。

実は、これらの規定は、申込書の片隅に小さく書いてあります。いくら小さくても、書かれていることは契約内容となります。しかし、悪質な業者は、あえてその説明をせず、広告掲載のメリットだけを強調して申し込みさせるのです。

被害に遭わないために何より大切なのは、申し込む前に申込書をよく読み、疑問点は業者に質問し、疑問が解けないようなら契約しないことです。業者とのやりとりは、メール、録音など、証拠に残しておくと後で役立ちます。

個人とは違い、事業者には消費者保護法のような保護制度がないため、悪質な事業者から狙われてしまいます。何らかの契約を締結する際は注意が必要です。弁護士会でも、中小企業向けの「ひまわりほっとダイヤル」=(0570)001240=で広告トラブルや経営の相談を受け付けています。

西日本新聞 3月2日分掲載(牧智浩)

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