「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2017年6月7日

「過労死基準」はどんな基準?

▼Q 春に会社員になった娘が連日残業し、休日も仕事だと出掛けます。娘の体調が心配です。過労死基準というものがあると聞いたのですが、どのような基準なのでしょうか。

▼A 労働基準法32条では、労働時間は1日8時間、1週間40時間までと定められています。「三六(サブロク)協定」と呼ばれる労使合意があれば、一定の時間外労働(残業)が認められていますが、あまりに長い残業が問題となっています。

長時間労働などの過労状態が続くと、脳・心臓疾患やうつ病などの精神疾患を発病することがあり、その場合労災認定を受けられます。厚生労働省は認定に際し一定の基準を定めており、これがいわゆる過労死基準と呼ばれるものです。

例えば脳・心臓疾患では、発症前1カ月間の残業が100時間超、または発症前2~6カ月間の月平均が80時間超。うつ病など精神疾患は、発病直前の2カ月間の月平均が120時間以上、または直前3カ月間の月平均が100時間以上になると、労災認定の可能性が高くなります。ただしこれらはあくまで一つの目安で、絶対的な基準ではありません。

労働者の健康確保の観点から、現在長時間労働を厳しく規制する法律づくりが進められています。娘さんについては現時点でも法的な対応が可能かもしれません。

日本弁護士連合会は9日に全国一斉労働相談ホットライン
=(0120)610168=を実施します。ぜひご相談ください。

西日本新聞 6月7日分掲載(星野圭)

※このイベントは終了しました

目次