「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2011年1月27日

弁護士過疎地の解消目指す

住んでいる地域に弁護士がいないと、法律問題で悩んでも相談できません。1人いたとしても、もめ事の当事者が2人いれば、片方しか依頼できないなど不公平な状況が起こります。それも弁護士が2人いたからといって解消するとは限りません。

例えば、Bさんとのもめ事に悩むAさんが、2人いる弁護士のうち1人に法律相談した後、セカンドオピニオンが欲しくて、もう1人にも相談したとします。すると、どちらの弁護士も、場合によってはBさんの相談すら受けられなくなります。

弁護士は事件の一方から相談を受けて信頼関係を築いた後、相手方に対して職務を行うことが禁じられているのです。Bさんは遠方に頼むか、自力で法的紛争の対処を強いられます。

2009年末時点で、九州管内には裁判所があるのに弁護士がいない地域が、全国でたった一つありました。弁護士が1人という地域も、全国12カ所のうち半分が集中。昨年10月までに前者は消滅し、後者も九州に1カ所残るのみとなったものの、九州における弁護士不足が解決されたわけではありません。

そこで九州弁護士会連合会は「弁護士過疎地」への赴任に意欲的な弁護士を養成しようと、08年9月、弁護士法人あさかぜ基金法律事務所(福岡市)を設立しました。私もその一員。既に4人が長崎県・対馬などへ赴任し、現在も6人が研さんを積んでいます。

◆天神弁護士センター=092(741)3208。

(要予約・30分5,250円)

西日本新聞 1月27日分掲載(油布貞徳)

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