「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2026年4月16日

政府主導の憲法改正

▼Q 「憲法改正」についてよく聞きます。でも改正する理由がよく分かりません。政府が進めるなら必要だと考えて良いのでしょうか?

▼A 最近、首相や与党関係者が積極的に憲法改正に触れています。憲法に自衛隊を明記し、緊急事態条項を設けて「有事」に備える意向のようです。

そもそも「憲法とは何か」を考えましょう。憲法は、政府や国会などが、国民の基本的人権を侵害しないよう「国家権力を縛る」ルールです。国家権力が国民の自由や権利を脅かしてきた歴史への反省から、憲法で権力を抑制する仕組みができました。これを「立憲主義」と呼びます。

首相や国会議員を含む公務員は憲法尊重擁護義務を負っています(憲法99条)。「縛られる側」の政府が、自ら縛りを緩めたり、都合の良い権限を書き加えたりしようと旗を振ることは、憲法の精神に照らせば極めて慎重であるべき行為だといえます。

憲法改正には、衆議院と参議院でそれぞれ総議員の3分の2以上が賛成し、国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。国民の基本的人権が容易に侵害されないよう、一般の法律より改正のハードルを高くしているのです。

今の改憲論議に問題はないでしょうか?政府が積極的に進めようとしている時こそ、冷静に「国民の自由や権利のためになるものか。それとも権力を使いやすくするものか」を見極める必要があります。憲法は、私たちを守る「最後の砦(とりで)」だからです。

5月3日は憲法記念日です。憲法を手に取ってみませんか?

西日本新聞 4月16日分掲載(山崎あづさ)

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