「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは隔週木曜に掲載されます。

2026年3月19日

テレワークの要望

▼Q 従業員から、親御さんの介護を理由にテレワークをしたいと要望がありました。当社にテレワーク制度はありません。どうすべきでしょう。

▼A 会社は、従業員と結んだ労働契約上の指揮命令権の行使として、業務場所を指定できます。従って、テレワークを導入するかどうかは、原則的に会社の自由です。

しかし、従業員さんも困っているようです。労働契約法3条では、労働契約は労使が対等の立場で合意に基づき結ぶ、と定めています。従業員側の事情が切実なのに、会社がテレワーク導入の検討もしないのでは、労使対等とは言えません。

テレワークには「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」のほか、労働者が自由に働く場所を選べる「モバイル勤務」もあります。今後も育児や介護、通勤困難などの理由で、テレワークを必要とする従業員が出てくるでしょう。人材確保や生産性向上の観点からも、この機会にテレワーク導入を検討してみてはどうでしょうか。まずは、従業員がなぜテレワークを望んでいるのかを丁寧に聴きましょう。

一方で会社は、業務の性質や職務内容、労働時間の把握、セキュリティー体制などの面から、導入しても問題がないか検討する必要があるでしょう。

その結果「テレワーク導入は難しい」との結論に至るかもしれません。その場合も、勤務時間の調整など、困難を解決する代替案を考えましょう。

従業員の立場になって、個別の事情に応じた柔軟な対応を取ることが大切です。

西日本新聞 3月19日分掲載(菅原千風優)

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