「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2022年2月9日

危険な通学路、学校に連絡を

▼Q 息子が小学校に通っています。通学路に信号のない交差点があり、交通事故が心配です。息子には注意していますが、他に何かできることはありますか。

▼A 危険な箇所の情報を学校に伝えましょう。学校には、子どもの安全を守るための計画を定めて実行する法的義務があります。これは、校内だけではでなく、通学や日常生活も含めた安全についての計画義務です。熱中症予防の指導や、通学路の点検なども含まれます。

学校への情報提供の方法は、担任への手紙でも、何でも構いません。情報に対してどうするかは学校の判断ですが、その危険箇所を学校が知らないかもしれませんから、積極的に知らせてみてください。

もっとも、安全計画義務があるからといって、事故が発生した場合に学校が当然に責任を負うわけではありません。交通事故であれば、基本的には被害児童と加害者との間の賠償問題となります。被害児童に信号無視などの過失があると、賠償額が減額されることもあります。保護者の立場からも、お子さんが自分の身を守るための指導が必要です。

なお、学校関連の事故については、公的な災害共済給付の制度があります。独立行政法人「日本スポーツ振興センター」が運営しており、対象は授業中の負傷などには限られません。給食による食中毒、いじめ被害などに広く適用されます。登下校中の事故も給付の対象です。

いずれにせよ、事故が起きないことが一番です。保護者としてもできることをしましょう。学校への情報提供もその一つです。

西日本新聞 2月9日分掲載(角倉潔)

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