「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2022年12月21日

インボイス制度ってなんですか!?

▼Q 消費税の「インボイス制度」が始まると聞きました。どのような制度でしょうか。

▼A 新制度は、事業者が伝票を発行する際の新しい仕組みのことで、インボイス(適格請求書)を用います。インボイスとは、売主が買主に対して、適用税率などを伝える請求書や領収書のことです。

事業者は、自分が納める消費税から、仕入れにかかった消費税を差し引くことができますが、これを行うのに、2023年10月からはインボイスが必要になります。

そこで、買主は売主に対してインボイスの発行を求めることになります。売主がインボイスを発行するには、税務署への登録が必要です。

ところが、インボイス制度には、早速困った問題が浮上しています。

売上高が1千万円未満の事業者は現在、消費税の納税が免除されています。しかし、インボイスを発行する登録をすると、免税を受けられなくなるのです。買主である取引先はインボイス発行を求めるでしょうから、取引先の意向と免税のどちらを選ぶかは、悩ましい問題です。

さらに、インボイスを発行しないと、取引先から代金減額や取引停止などの圧力をかけられることも心配されています。公正取引委員会も「優越的地位の濫用(らんよう)として独占禁止法に違反することもある」との見解を示しています。今後、予想外の新たな問題も生じるかもしれません。

福岡県弁護士会をはじめ各地の弁護士会では、ひまわりほっとダイヤル=(0570)001240=という中小企業向けの法律相談(一部地域を除き初回無料)を実施しています。ぜひご活用ください。

西日本新聞 12月21日分掲載(両角駿)

目次