「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは隔週木曜に掲載されます。

2025年8月7日

退院後の生活が不安

▼Q 精神科病院に入院中の娘が「退院して1人暮らしをしたい」と言っています。私は賛成ですが、夫は「ちゃんと通院や服薬ができるか心配だ」と反対しています。どうしたらいいでしょうか。

▼A 都道府県などの「地域移行支援事業」を利用してはどうでしょう。施設や病院に入っている障害のある方が使える無料の障害福祉サービスです。指定一般相談支援事業所が、病院や障害福祉サービス事業所と連携して、地域生活への移行を支えます。

ご相談のケースでは、娘さんの住まい探しの外出に同行してもらうことや、通院や服薬を支援してくれるグループホームの宿泊体験をサポートしてもらうことなどが期待できます。

退院や退院後の生活については、弁護士にも相談できます。弁護士は「地域移行支援事業」の利用の仕方をアドバイスできますし、代理人となって処遇改善や退院請求をすることもできます。

県弁護士会でも「精神保健当番弁護士」という活動をしています。入院中の方やご家族などから要請を受け、入院先に無料で弁護士が出向き、相談に乗る制度です。申し込みは県弁護士会=092(791)2258=に電話してください。

隔離や分離をなくし、誰もが地域で学んで暮らすインクルーシブ社会。インクルーシブ教育はその土台です。県弁護士会は10日にシンポジウム「ともに育ち、ともに学び、ともに生きる-インクルーシブ教育について考える」を開きます。参加無料でオンライン参加も可。詳しくは県弁護士会のホームページで。

西日本新聞 8月7日分掲載(小出真実)

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