弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年5月 4日

時間は存在しない

人間


(霧山昴)
著者 カルロ・ロヴェッリ 、 出版 NHK出版

大変興味深い内容でした。よく分からないまま、なんだか考えさせられました。あたりまえだと思っていたことが、実は、あたりまえではないというのです。
飛行機に正確な時計をのせたところ、その時計が地上に置かれた時計より遅れた。
ええっ、何、どういうこと・・・。それって、いったいどうやって測るの...。不思議な話です。
時間には、最小幅が存在する。その値に満たないところでは、時間の概念は存在しない。ええっ、いったい何の話をしてるの...。
時間は唯一ではなく、それぞれの軌跡に異なる経過期間がある。そして時間は、場所と速度に応じて異なるリズムで経過する。時間は方向づけられていない。
この広大な宇宙に、私たちが理にかなった形で「現在」と呼べるものは何もない。
事物は「存在しない」。事物は「起きる」のだ。
世界とは、ほかでもない変化なのだ。この世界は物ではなく、出来事の集まりなのだ。
時間の流れは、山では速く、低地では遅い。低いところでは、あらゆる事柄の進展がゆっくりになる。
これが本書の冒頭にある話です。ええっ、どうして、何のこと...。
物体が下に落ちるのは、下のほうが地球による時間の減速の度合いが大きいから。何なに、いったい何のこと...。
時間が減速するからこそ、物は落ち、私たち人間は足をきちんと地面につけていられる。
足が舗道から離れないのは、体全体が、ごく自然に時間がゆったり流れる場所を目ざすから。頭よりも足のほうが時間の流れが遅いからだ。
うむむ、なんだか、よく分かりませんよね...。
熱は、熱い物体から冷たい物体にしか移らず、決して逆は生じない。これは熱力学の第二法則と呼ばれるもの。
たとえば、知人が地球から4光年はなれた惑星にいるとする。その人に、今、何をしているのと尋ねたら、どうなるか...。この質問は、まったく意味がない。光が届くのに4年かかるというのは、望遠鏡で見たとしても、それは4年前にしていたことであって、「今」していることでは決してない。
私たちの「現在」は宇宙全体には広がらない。「現在」というのは、自分たちを囲む泡のようなもの。宇宙全体にわたってきちんと定義された「今」という概念が存在するというのは幻想にすぎない。宇宙全体で定義できる「同じ瞬間」というのは存在しない。
時間が事物から独立していて、他のあらゆるものとは無縁に規則正しく、ゆるぎなく経過するというニュートンの考えは間違いだ。
時間は空間と一体化した広がりであり、過去と未来を区別する方向性もなければ、「現在」という特別扱いされるべき時刻も存在しない。
よく分からないなりに、時間という不思議な、つかみどころのない概念を少しばかり考えてみました。こんな本が7万部も売れたなんて、不思議でなりません。
(2021年9月刊。税込2200円)

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