弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

生物(イルカ)

2021年11月 8日

イルカと心は通じるか


(霧山昴)
著者 村山 司 、 出版 新潮新書

著者は動物が苦手。船に弱い。船に乗ると、必ず船酔いする。飛行機だって怖い。それなのに、著者はイルカの研究者。なぜ...。高校1年生のとき、テレビでたまたま「イルカの日」(1973年)という映画をみてしまったことから...。
イルカの脳は大きくて重い。イルカの能はヒト並みの重さがある。ヒトの脳は1400グラム。バンドウイルカは1500グラム。イルカの脳の表面にあるシワは、ヒト並みくらい、たくさんある。イルカの神経細胞の数は、100~200億個。これは、ヒトのそれが140億個なのより多い。
イルカたちは、狩りをするとき互いに協力したり、別の場所で練習してから本番の狩りにのぞんだり、オトリを使ったり、待ち伏せのような行動もする。また、イルカ同士が同盟を結んだり、母イルカに代わって乳母役をするイルカもいる。
紀元前5000年前の壁画にクジラが描かれている(ノルウェー)。そして、紀元前3000年ころの壁画にイルカが描かれている(同じくノルウェー)。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスはイルカが哺乳類であること、温血動物であることを知っていた。いったい、どうやって知ったのでしょうか...。
クジラもイルカも俗称で定義も違い、明確ではない。いずれも、祖先は陸上で四足歩行をしていた肉食動物だった。そして、祖先は偶蹄類のカバに近いことが判明している。
サメは魚類で、尾ビレが縦になっている。イルカの胸ビレの中には5本の指の骨がある。後肢は退化してしまったが、その名残の骨は、今でもイルカの体内には存在している。そして、尾ビレは水平についている。この尾ビレは、皮膚が肥厚したもので、陸に棲んでいたころの尾が変化したもの。
イルカが水棲生活して得た強力な能力は聴覚。イルカは、エコーロケーションという能力をもっている。水中は陸上より速く、遠くまで音が届く。
イルカは遊びが好き。イルカだって、練習しているとき、分かればうれしいに違いない。イルカは笑わない。顔には神経が少ない。
イルカが、エサをくれたりケアしてくれるトレーナーを、シルエットだけでなく、歩き方、足音のパターン、そして声などを総合して認識している。
イルカは勉強したら賢くなるし、イルカは、ほめられたら伸びる。7ヶ月たっても、ほとんど間違えることなく、覚えている。
シロイルカのナックは、聞こえた音をマネすることができる。ナックは、こちらがナックに向かって音を発したり、語りかけたときだけマネして返してくる。つまり文脈を理解して模倣している。オウムや九官鳥のように、誰もいないところでスナックがコトバを発することはない。そこに違いがある。
シロイルカのナックは、1988年にカナダからやって来た。少し気が強いところもあるが、根がまじめで、曲がったことが嫌いな性格。
いやあ、根がまじめだとか、曲がったことが嫌いだなんて、どうして分かるのでしょうか...、不思議です。イルカの生態をさらに少し知ることができました。
(2021年9月刊。税込858円)

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