弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

チョウ

2020年11月 7日

チョウはなぜ飛ぶのか


(霧山昴)
著者 日高 敏隆 、 出版 岩波少年文庫

驚きました。戦前の1930年生まれですから、敗戦当時は15歳。チョウの飛び方を探るべく、遠く高尾山にまで一人で、また、大人と一緒に出かけてチョウ道の観察に出かけていたのでした。そして、戦後になってからは、外房線の東浪見(とらみ)駅まで、はるばる4時間もかけて大人2人と3人で出かけていき、そこでチョウ道を探索して歩いたというのです。
いやはや、なんという執念というか、物好きな人たちです...。
そして発見したのです。チョウ道は時刻に関係があること。そして、地形ではなく、光と関係があることも。チョウは明るく日のあたっている木の葉の近くを飛ぶ。しかし、チョウ道は光や木の葉とだけ関係があるのではなく、温度とも関係がある。そして、チョウ道は、チョウの種類によっても違う。
しかし、チョウ道があるのは、おもにアゲハチョウの仲間に限られている。モンシロチョウやモンキチョウにはチョウ道らしきものはない。
チョウ道は、なわばりとは関係がなく、食物のありかとも関係がない。チョウ道があるかどうかは、そのチョウの幼虫がどんな植物を食べるのかということに関係している。
ずいぶん前に、『モンシロチョウの結婚ゲーム』という面白い本を読みました。キャベツ畑をひらひら飛んでいるモンシロチョウは、オスがメスを見つけて、素早く飛びかかる。しかし、人間の目ではオスもメスも真っ白で区別がつかない。どうやってオスはメスを見つけるのか...。
それは紫外線写真をとると一目瞭然。オスはまっ黒に見える。なので、オスがメスを見間違えるはずがない。
では、アゲハチョウはどうか。実は、アゲハチョウは、大変気むずかしいチョウだ。
オスがメスを見つけるときに大切なのは黄色い色。そして、縞(しま)もよう。黄と黒の縞もようにオスは惹かれて寄ってくる。さらに、アゲハチョウは、わざわざさわってみる。
今から45年も前に書かれたものなんですが、研究途上の大変な苦労を重ねて、一つひとつ発見していく過程が紹介されていますので、とてもスリリングで興味が湧きます。さすが少年文庫にふさわしい内容です。著者は惜しくも10年前の2009年に亡くなられています。
(2020年5月刊。760円+税)

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