弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

地球

2021年7月26日

交響曲第6番「炭素物語」


(霧山昴)
著者 ロバート・M・ヘイゼン 、 出版 化学同人

炭素は、私たちの身の回り、どこにでもある。人間の身体も同じ。皮膚や毛髪、血液、骨、筋肉、腱は炭素原子からできる。どの細胞も、細胞内の成分も、炭素原子の強い骨格があるので働く。乳児の心臓は、母乳の炭素からできる。
炭素と炭素化合物こそが、かけがえのない物質世界と宇宙の進化を促す。しかし、この平凡な元素には謎が多い。地球に炭素がどれくらいあるかも、深部の炭素がどんな化学形かも、よく分かっていない。人間の体をつくっている炭素原子には、恒星が生んだもののほか、ビッグバンが生んだものも少しある。カール・セーガンは「人体は星の産物」と言ったが、「ビッグバンの産物」でもある。
太陽をふくめ、星はほぼ水素の集まりだ。太陽は水素を「燃やす」核融合でヘリウムに変え、過去45億年、輝度をわずかに変えてきた。水素の大半がヘリウムになったときにヘリウムも燃えはじめ、やがて炭素ができていく。炭素は宇宙で4番目に多い元素だ。
130億年以上も前、宇宙の誕生から数百万年たったころ、岩の惑星も生命も気配すらない宇宙空間で、最初の恒星が輝き始める。今の宇宙には、1000個の水素原子あたり1個の炭素原子がある。宇宙空間に向けた炭素の盛大な「種まき」は、巨星が寿命を終えるときに起こる。並サイズ恒星の太陽で、中心部で生まれる元素の最終産物は炭素になる。
炭素鉱物の種類は多い。400種をこす。しかも炭素鉱物は多彩きわまりない。多種多彩な炭素鉱物と合成品がなければ、今の社会は成り立たない。高圧の深部で生じる炭素鉱物のうち、その筆頭はダイヤモンドだろう。30億歳より古い炭に埋まっていたダイヤモンドもある。ダイヤモンドは、数十億年のうちに地球内部で進んだ変化を語る。ダイヤモンドの内包物は、地球が150億歳のころにプレート運動を始めたことを教えてくれる。
地球の炭素は、みな宇宙空間から飛来してきた。その主な源は3つ。その一は、太陽風に混じった炭素系の気体。二つ目は、炭素質の隕石(いんせき)。3つ目は、一酸化炭素や二酸化炭素に富む彗星(すいせい)。地球の地殻には2兆トンの1万倍の炭素がある。炭素という元素が地球を守ってくれている。
地球上の元素は、みな循環している。炭素も例外ではない。炭素は大気から地球深部へ向かい、また大気に戻る。このサイクルが続く。
炭素と地球、そして私たちの身体とのかかわりを全面的に考えさせてくれる新書でした。
(2020年5月刊。税込2640円)

 大牟田市民を長く苦しめてきた暴力団事務所が解体されました。7月20日にその前を通ったら、大きな重機が2台動いていて、3階建の建物はすでになく、敷地に残骸が残って片付け中でした。
 この3階建の建物には、ひところは「村上一家」という大きな代紋がかかっていたように思いますが、ともかく、公然たる暴力団の事務所が町中(まちなか)の目立つところにあるなんて許せないことだと前から思っていました。「悪」の拠点がなくなったのはいいことだと思いますが、いったい今は、どこで総会などはやっているのでしょうか...。

2021年3月 7日

地球科学入門


(霧山昴)
著者 平 朝彦、JAMSTEC 、 出版 講談社

今から50年前ころは、ウェゲナーの大陸移動説はインチキ科学とバカにされていました。やがて、プレートテクトニクスという、地球内部が動いているので大陸も移動するという学説が登場し、みるみるうちに有力になっていきました。これが門外漢の私の認識です。
ところが、今では、地球はずっとずっと揺れ動いていて、ちっとも固定していないというのが定説です。
地球史において大陸は、離合集散を繰り返し、最新の地球学的研究からは5億年から8億年周期で超大陸が形成されると考えられている。
地球の歴史って、30億年でしたか...。もう何回も大きく変わっているということなんですよね。
アフリカにある大地溝帯で人類は誕生したようです。いったいなぜなのでしょうか...。ルーシーが有名ですよね。
日本列島で地震が絶えないのは、南海トラフ、駿河トラフそして相模トラフなどは太平洋側にあるからです。なので、いつ強烈な大地震が起きるか分かりません。不思議なことに深海にも生物がたくさん生存しているのですよね。いったい水圧はどうやってはねのけているのでしょうか。
深海では光合成はできないため、化学合成に頼っている。いったい、どうやって...。
雲仙大山が噴火し、火砕流が発生して死者43人という大惨事を起こしたのは1991年6月3日のこと。もう30年にもなるのですね。そして、この雲仙火山は、江戸時代の1792年にも噴火して、眉山が山体崩壊して対岸の熊本にまで被害をもたらした。「島原大変、肥後迷惑」として知られている。
阿蘇火山では9万年前に巨大噴火があり、火砕流は九州北部から山口県にまで達した。このときの火山灰は北海道にまで広がっている。
大観峰に立つと、その巨大噴火のスケールの大きさをしのぶことができます。
カラー図解なので、まったくの素人にもよく分かる入門書です。
(2020年11月刊。2500円+税)

2019年2月11日

太平洋

(霧山昴)
著者 蒲生 俊敬 、 出版  講談社ブルーバックス新書

太平洋も動いているのですよね。その海底が少しずつ移動していて、地球の奥深く沈み込んでいくプレートテクトニクス理論は、初めはウェゲナーの大陸移動説と同じで、信じられませんでしたが、どちらも今では定説になっています。
日本に地震が多いのは、そのせいです。そんなところに原発をつくったり、使用ずみ核燃料の最終処分場を地底深くに置いておこうなんて、いずれもとんでもありません。
この本に、地球上の海について、その表面だけでなく、深いところでも海流があると書かれていて、驚きました。
北大西洋から始まった深層流が最後に北太平洋まで到達するのに、約2000年かかる。この階層海流のおかげで地球の高緯度域と低緯度域との温度差がやわらげられている。つまり、深層海流は、地球にとってエアコンのようなありがたい存在だ。
深層海流の速さは、1時間に40キロメートル、つまり時速5キロ。
地球が受けている潮汐力の7割は月による。月という衛星のあるおかげで、海洋の熱塩循環が続き、そのエアコン機能によって、地球の温和な環境がたもたれている。
POPsとは、難分解性有機汚染物質。海洋生物に取り込まれたPCBsの一部は、やがて生物の死骸の断片とともに、海洋表層から深層へと沈降していく。世界でもっとも深い、西太平洋のマリアナ海溝のなかにあるチャレンジャー海淵(水深1万920メートル)で採取されたエビ類の体内から、高濃度のPCBsが検出された。恐るべきことだ。
海水中では、光と音は、対照的だ。海水中で、光はほとんど通らない。これは、水の分子が光のエネルギーをさかんに吸収してしまうからだ。音については、海水はきわめて優れた伝導体となる。海中では、空気中に比べて4倍以上の速さ、毎秒1500メートルだ。
宇宙を飛行した人類は全世界に550人をこえた。これに対して、水深1万メートル以上の深海底に到達した人類はわずか3人のみ。
調べてみると、深海の海溝水は豊富に酸素を含んでいることから、海溝の内部と海溝の外側とで、海水の入れ替わりがひんぱんに起こっていた。
地球も海も、まさに生きているのですよね・・・。宗教家は、それでも、地球も海も、神がつくったと説明するのでしょうか、不思議です。
(2018年9月刊。1000円+税)

2018年11月 8日

フォッサマグナ

(霧山昴)
著者 藤岡 換太郎 、 出版  講談社ブルーバックス新書

フォッサマグナって、地理の教科書に載っていましたので、今はどんなものなのか、すべて判明していると思って手にとって読んでみました。すると、驚くべきことに、今も謎に包まれていて、よく分かっていないというのです。
この本を読んで、門外漢の私がしっかり認識できたことは、地球は生きていて、絶えず流動していること、そして日本列島も移動しているということです。
ですから、日本列島のあちこちで大地震が起きるのも自然の摂理なんですよね。そんな日本に原子力発電所(原発)をつくるなんて、土台まちがっています。
九州にしても、いずれ大分の別府と島原あたりを結んだ線で2分されると言われています。まあ、明日おきる話ではありませんので、今を生きる私たちが心配するようなことではありませんが・・・。
それにしても、南海トラフの大地震予想というのは、近いうちに間違いなく起きることなのでしょう。そのとき、原発や新幹線は本当に大丈夫なのでしょうか。また、全国各地、いたるところにタワーマンションをぼこぼこ建てて、見晴らしの良さにうけにいってる住民の皆さんの生活は大丈夫なのでしょうか。私は本当に心配です。
フォッサマグナとは、本州の中央部の火山が南北に並んで、本州を横断している細長い地帯のことを言う。この東西では、地層や岩石などの地質がまったく異なっている。フォッサマグナ地域の東西では、1億年から3億年前の古い岩石が分布しているのに対して、フォッサマグナ地裁の内部は2000万年前以降の珍しい岩石でできている。
フォッサマグナは地下6千メートル以上の溝であることが判明しているが、実は、どれくらい深いのかは、まだ分かっていない。したがって、日本アルプスの3千メートル級の山の頂上との落差は1万メートルもある。
フォッサマグナがなぜ出来たのかは、いろいろな説があるものの、定説はなく、謎に包まれている。その論争の一つは、そもそも日本の本州は、最初から一つの島弧だったのが、二つの島弧が合体したものなのかという未決着の議論につながっている。
今から40年ほど前、ウェゲナーの大陸移動説というものが提唱されたとき、冷笑する学者が多かったように覚えています。あんな重たい大陸が動くはずがないという考えで、これは地球が動くなんて間違いだというのと似た考えです。
ところが、その後、プレートテクトニクス理論なるものが出てきて、地球内部のある高温高熱のマグマが地表へ噴き出してくるので、大陸も海も動いているという学説でした。これが今ではすっかり定着しています。
それにしても、明治の初めにドイツからやってきたナウマン博士がわずか10年ほどの滞日期間中にフォッサマグナを発見し、あわせて日本列島の地質図を完成させたというのは、大変な偉業だと改めて思いました。生きている地球に無事に住んでいるって、つくづくありがたいことなんですね・・・。
(2018年9月刊。1000円+税)

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