弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

動物

2019年6月 1日

かぴばら

(霧山昴)
著者 岩合 光昭 、 出版  クレヴィス

今では、すっかり猫写真家として有名は動物カメラマンがブラジルのパンタナール大湿原に出かけてカピバラの生態をとらえています。
カピバラは、大地に芽生える新鮮な食物を食べる動物です。ジャガーに狙われ、その食事メニューの一つとされています。
カピバラは、いろんな声をもっている。家族とのやりとりはもちろん、危険を知らせるための大きな警戒音も出す。
ジャガーが近くに出現すると、「ピーッ」とホイッスルを鳴らしたような鳴き声が響くとともに、目にもとまらぬ速さでカピバラは鉄砲玉のように川へ飛び込む。
家族で常に用心し、警戒しながら暮らしている。癒し系と称される、おっとりとした雰囲気を保ちながらも、鍛えられ引き締まった体は、ときにおどろくほどの瞬発力を発揮する。
カピバラは円陣を組んで360度、気をつける。
川の真ん中の浅瀬が安全なことを知っていて、そこでしばし静止する。
川の中に広がる砂洲は、親子でのんびりできる安全地帯だ。
泳ぎが得意なので、水際にいると安心。
夕方になると、家族で草地に向かう。
泥遊びするのは、暑さよけ、虫除けのため。気持ちいい。
ほっこり癒されるカピバラの写真集です。
(2018年8月刊。1000円+税)

2019年5月20日

子どもには聞かせられない動物のひみつ

(霧山昴)
著者 ハーシー・クック 、 出版  青土社

タイトルに「子どもには聞かせられない」とあるのは、なぜなんだろう・・・、そう思いながら読みすすめていきました。要するに、学校での性教育が遅れている日本だったら、まさしくあてはまりそうな話のオンパレードなのです。
東京の養護学校で教師が苦心のすえつくりあげた性教育について、自民党の議員などが偏向教育として中傷し攻撃したため、教育現場はますます萎縮し、性教育を敬遠して触れたがらないという現実があります。
女性天皇は認めない、夫婦別姓にも反対する。LGBTの人は生産性がない。そんな時代錯誤の考えにこりかたまった人が議員として、もっともらしく議会で「質問」と称してまともな性教育を攻撃するのです。たまりません。性をタブー視するのは良くありません。
ニホンウナギの卵は2009年に太平洋のマリアナ海溝で見つかった。しかし、野生のウナギが交尾しているところはまだ誰も見たことがない。
ナマケモノの胃は、2週間ほどかけて木の葉に含まれる植物繊維や毒性を分解する。ナマケモノの胃袋には、ほぼ丸のままの葉が送り込まれ、友好的な腸内細菌の助けをかりて分解するしかない。だから、ナマケモノはできるだけエネルギーを消費しないように進化した。樹上でのんびりくつろぎ、ゆっくり葉を消化することで、不要な努力を回避している。
こんなナマケモノは、6400万年前から今日まで生きのびている。ナマケモノは一日中、瞑想状態にあるように見えて、実は1日平均9.6時間しか眠っていない。意識はあるが、動作をしない状況こそ、エネルギーを節約し、生きのびるためのカギになっている。
ハゲワシは腐った肉を食べるが病気にならない。それは、動物界のなかで一、二を争う強力な胃酸によって病原菌を撃退しているから。胃酸のPHは希硫酸に匹敵する。ハゲワシの糞は、消毒剤として非常に有効だ。
コウモリは恐ろしい吸血鬼だと思われているが、本当は深刻な病気を媒介し、作を台なしにする昆虫をコウモリが食べてくれているおかげを人間は受けている。また、熱帯の植物にとって主な花粉媒介者の役目も果たしている。
チスイコウモリの寿命は長く、30年もある。
太平洋戦争のころ、アメリカは小さな爆弾をコウモリの大群に背負わせて、日本の都市の上空に放つ計画をたてて、準備してみたそうです。ところが、実験段階で思うように行かず、本番に移る前に中止されました。あたりまえでしょう。でも、その代わりが原子爆弾の投下でした・・・。
パンダ(ジャイアントパンダ)は原初のクマ属の末裔で、2000万年ほど前に別の道を行くようになった。今でもクマとあまり変わらない。
パンダのメスは、セクシーな匂いを木の一番高いところにつけたオスが好みだ。競争に勝ったオスは、ご褒美として、半日で40回もセックスする。
パンダは竹をかじるという食生活を通して、強力な顎(あご)の力を手に入れ、肉食動物のかむ力の比較では、ライオンとジャガーにはさまれて5位に食い込んでいる。
ほとんどのペンギンは一夫一婦制とは言いがたい。コウテイペンギンの85%は、毎年パートナーを取り替えている。ところが、ドイツの動物園にはオスのカップルがいて、10年も一緒だ。そして、ヒナを養子に迎えて子育てまでしている。
メスのフンボルトペンギンの3分の1近くは不貞行為を働き、多くの場合、その相手は同性だ。アデリーペンギンは地球でも数少ない売春に走る動物だ。小石を集めるため、独身のオスに流し目を送り、交尾を求めているそぶりをして、オスと交尾をし小石を得る。ときには交尾せずに小石を得るだけのこともある。
野生のチンパンジーは、いつもお腹のひどい張りに悩まされていて、大きな音でおならをする。湿っぽくて、一瞬のためらいもない。
ギニアのチンパンジーは、葉をつかってスポンジをつくり、ヤシの実からつくった純度の高いアルコールを飲んでいる。ウガンダでは、若いメスのチンパンジーが、お人形遊びのように棒をいじり、抱っこして、寝床をつくって、夜は一緒に寝ていた。
子どもたちに聞かせられないというより、なかなか高度な話なので、それなりに基礎的知識がないと理解するのがたやすくはないという内容の本でした。私は、連休中に面白く読み通しました。
(2019年1月刊。1900円+税)

2018年9月25日

動物たちのすごいワザを物理で解く

(霧山昴)
著者 マティン・ドラーニ、リズ・カローガー 、 出版  インターシフト

一般に外温性動物は内温性動物ほど食べる必要がない。
外温性動物たちは、遠くまで行きたいときには、まず日光に当たりながらごろごろしなければいけないし、速く動けるのは、ほんのしばらくでしかない。そもそも寒すぎるところでは暮らせない。外温性動物は、夜に活動するのも難しい。
イヌは内温性動物なので、体温は38~39度の範囲でなければいけない。体温が37度を下回ったり、40度を上回ったら、獣医に診てもらったほうがいい。
メスの蚊は尿と血の混ざった球を排出する。これは、体温を下げて熱による負荷がかからないようにするため。
ミツバチは、暑い日には、飛びながら口から花蜜を吐き出し、脳が過熱するのを防ぐ。おかげでミツバチは、最高46度の暑さでも飛ぶことができる。
ガラガラヘビは、マムシ属のヘビ。マムシ属のヘビは、可視光が見える目以外にも目を持っている。人間をはじめ、たいていの動物には見えない赤外線を感知できる、感熱ピットを一対もっている。これは、普通の目のほかに、赤外線カメラを内蔵しているようなものだ。
ガラガラヘビと対決したリスは、敵を混乱させようと、わざとしっぽから強力な赤外線信号を出す。
蚊は雨のなかを果たして飛べるのか。こんな疑問をもって(それ自体がすごいことです・・・)、それを実験によって解明した学者がいました。このとき、雨粒なんて軽いものだと考えてはいけません。
雨粒の落下速度は秒速10メートル近い。これは、時速35キロ。もっとも重い雨粒は100ミリグラムもあるので、蚊の体重の50倍。なので、静止している蚊に雨粒1個がぶつかるのは、体重100キロの人間に5トントラックが激突するようなもの。土砂降りのなかでは、蚊は25秒に1度は雨粒にぶつかる計算だ。
蚊はとても軽いので、蚊の運動量の変化はかなり小さい。蚊はヨロイのような外皮、つまり外骨格のおかげで、雨粒の10倍以上の力がかかっても、それを耐え抜くことができる。
蚊は雨粒に抱きつき、すぐに離れる。
飛んでいつ蚊が雨粒との衝突に耐えるための鍵は、体重が軽いことと、「パンチに乗る」こと。
1匹のトッケイヤモリは、総計650万本もの剛毛をもっている。剛毛1本につき、2~20ミクロン平方のスパチュラ面をもっている。ヤモリが体重を支えるには、0・04%も必要ない。
デンキウナギは、頭が正(プラス)極で、しっぽが負(マイナス)極という、巨大な900ボルトの電池のようなものだ。
アリが持っているのは、体内時計ではなく、体内歩数計。これを偏光感知能力と結びつけて、エサを見つけるためには、自分がどれだけの距離、どの方向に歩き回ったかを知る。そして、それに続き、何らかの方法で、酢に戻る最短ルートを計算する。
動物をめぐる難しい内容をやさしい文章で明らかにしている本です。
(2018年6月刊。2300円+税)

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