弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

生物・ネズミ

2021年11月 1日

おもしろいネズミの世界


(霧山昴)
著者 渡部 大介 、 出版 緑書房

私はネズミ年の生まれですし、ミッキーマウスなど、ネズミって可愛いですよね。でも、ドブネズミは大きいし、怖いです。
ネズミ博士がネズミの世界を面白く語っている本です。
世界には5400種の哺乳類がいて、ネズミの仲間(げっし目)はその4割2300種を占め、最大のグループだ。次の1200種のコウモリに大差をつけている。
真のネズミ(ネズミ形亜目)は1500種いる。
ネズミの歯は上下2本ずつの門歯(切歯、前歯)がノミのように生えていて、かじる能力が非常に優れている。
ネズミという名前は、根栖み、根住(棲)み、寝盗み、に由来するようだ。古事記には「禰須美」として登場している。
日本固有のネズミは9種。アカネズミ、ヒメネズミ、セスジネズミなど...。カカネズミは、最小。
モグラは肉食なので野菜は食べない。ただ、モグラのトンネルを利用して、野菜を食べる家ネズミやハタネズミがいる。
ネズミの聴覚は優れていて、人間には聞えない周波数の音で、仲間同士、コミュニケーションをとっている。
ネズミは「寝住み」とも呼ぶように、多くは夜行性。
ネズミの嗅覚は人よりはるかに優れていて、地雷撤去で活躍している。火薬のにおいを探りあてる。オニネズミは体重が1キロしかないので、ネズミが地雷を踏んでも爆発はしない。
ネズミの長いヒゲは、視力の弱いのを補って、重要な役割を果たしている。
ハリネズミはモグラの親戚で、ネズミの仲間ではない。
ネズミは味覚も敏感。ネズミは甘味と塩味を好み、苦味、酸味は苦手。
ネズミの毛は蒔絵(まきえ)の筆として最上級。数十頭のネズミの最上の毛でつくられた本根朱筆(ほんねしゅふで)は、最上級。
ネズミは一晩に週十回の交尾行動を繰り返すので、交尾するとほぼ妊娠する。
マウスやラットは、20日間の妊娠で出産し、そのあとすぐ交尾して妊娠して20日後には出産。1ヶ月弱のサイクルで、一度に多いと10頭の子を産むので、それこそネズミ算式に増えていく。
ヘビを飼うとき、エサとしてネズミを与える。丸飲みにし、そのほとんどを栄養として消化・吸収できるため、ヘビには紫外線すら必要がない。
ネズミは、ダニなどの外部寄生虫の宿主となり、また病原性細菌やウィルスの感染源にもなる。
垂直方向で移動できるのは、家ネズミではクマネズミだけ。ドブネズミにはできない。それでクマネズミが今や日本最大勢力を誇っている。
日本における最初のネズミ飼育記録は江戸時代にある。ネズミを飼い馴(な)らすための教本として『養鼠玉のかけはし』(1775年)や『珍玩鼠育草』(1787年)が出版されている。いやあ、驚きました。江戸時代にすでにネズミの飼い方の本があったとは...。
たくさんのネズミを知ることができる本でした。知れば知るほど、ムチュウになりますよ...。
(2021年7月刊。税込1980円)

2020年8月 3日

ネズミのおしえ


(霧山昴)
著者 篠原 かをり 、 出版 徳間書店

ネズミって、意外に賢いようです。
嬉しくても顔には出さない。ネズミは、母ネズミに可愛がられているとき、子ネズミ同士でじゃれあっているとき、笑い声をあげる。人間がくすぐって笑わせることもできる。ただし、ネズミの笑い声は5万ヘルツという、とてつもなく高い音で笑っている。
ネズミは遊び好き。他者の悲しみに寄り添える。
自分の選択を後悔するし、負け続けると自信を失ってしまう。人間によく似ているネズミは仲間が傷つくのを避け、見捨てないという共感性をもっている。
性格は個体によって異なる。
芸を覚える賢いネズミがいるし、おっとりとして撫でられるのが大好きなネズミもいる。
ペットとしてのネズミの欠点は寿命の短さ。2年しかない。
日本には数十種類のネズミがいるが、日頃みかけるのは、ドブネズミとクマネズミとハツカネズミの3種。実験動物として使われるドブネズミはラットと呼ばれる。
同じくハツカネズミは、実験動物としてはマウスと呼ばれる。
ヌートリアもネズミの仲間。ビーバーもネズミの仲間。
ハリネズミは、モグラに近い仲間。
カヤネズミは体長6センチ、体重7グラムで、日本最小。
カピバラは、ネズミの仲間のなかで最大。カピバラとは「草原の支配者」のこと。とても穏やかな性格。メスは自分の子どもだけでなく、群れの子どもに分け隔てなく授乳し、共同で子育てする。そして、本気を出せばカピバラも時速50キロのスピードで走ることができる。
平安時代の藤原道長はネズミを可愛らしい生き物としてとらえ、歌を詠んでいる。
インドのカルニ・マタ寺院では、2万匹のネズミを放し飼いしている。ここではネズミにお願いごとをすると、それがかなえられるというので人気を集めている。
ネズミは、立派な社会性をもった動物だ。
ネズミは群れで生活している。意外に仲間と一緒にいることを好む動物だ。孤独になるとストレスを受ける。
ネズミが嬉しいと耳にあらわれる。ピンク色に色づき、耳は外側に向かって寝ている。
ネガティブな表情をしているネズミには、ほかのネズミは近付きたがらない。
ネズミは自分が損をすると分かっていても仲間を助けるし、受けた恩は忘れない。
ネズミは隠れんぼのルールを理解して遊ぶ。そして勝ったときには歓声をあげる。
ええっ、これって、いくらなんでもウソでしょ、と言いたくなりますよね...。
地雷除去活動にアフリカオニネズミが活躍している。抜群の嗅覚でわずかな火薬の匂いをかぎとり、地雷を発見する。ネズミは体重が軽いので、地雷を踏んでも爆発させることはない。
ネズミ自身、そしてネズミを通して、いろんなことを知ることができました。ありがとうございます。
(2020年4月刊。1500円+税)

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