弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年2月11日

もっとディープに!カラス学

生物(鳥)


(霧山昴)
著者 杉田 昭栄 、 出版 緑書房

著者はカラス博士として著名です。カラス研究をはじめて25年になります。
カラスの脳は、機能性の高い大脳皮質に相当する部分が多くを占めていて、さらに高次の働きをする外套(がいとう)の連合部位が、他の鳥よりも発達している。
カラスのくちばしは、人間の指のように敏感、かつ器用だ。
カラスのくちばしは、武器というより巣づくりや羽繕(つくろ)い、子育てのときのエサ運びやような働きをする。また、くちばしは、体温にも関係している。くちばしには、多くの血管が分布している。
カラスの神経節細胞は360万個もある。これは、ニワトリの250万個、フクロウの200万個に比べても多い。
鳥の視覚が優れている理由として、網膜の血管がないことがあげられる。
カラスは、紫外線をふくめて4種の光波長で色覚の世界をつくっている。紫外線がなくなると、カラスは繊細な色彩の区別がつかなくなる。紫外線は鳥類の生活で、重要な役割を担っている。
カラスには怖い色とか嫌いな色はない。ごみ袋を黄色にすると、中の物が見えなくなるというだけ。カラスが物を識別するとき、色は非常に重要。
カラスは鳴き声による意思疎通が豊富な鳥。
ハシブトガラスの終脳の神経細胞数は2億3千万個。カモは6千万個、ニワトリが4千万個に比して、断然多い。
カラスはヒトの顔写真を認識できる。これは、どのような向きになっていても言える。
カラスは、少なくとも12ヶ月間は記憶を保つことができる。
その年に生まれたカラスの半数近くは、厳しい冬をこせずに死亡する。飼育したハシブトガラスは12歳まで生きた。
カラスは共喰いする。死んだカラスを食べてしまう。
カラスは水浴び、砂浴びを1年中好む。それは、身体についたダニなどの虫を払い落すため。カラスは清潔好きの鳥。
カラスの体と心の不思議にせまった本です。
(2021年6月刊。税込1980円)

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