弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2023年2月13日

病原体の世界

生物


(霧山昴)
著者 旦部 幸啓 ・ 北川 善紀 、 出版 講談社ブルーバックス新書

 ウィルスは、生物の特徴の一つにあげられる「細胞構造」をもたない。ウィルスは他の生物とはまったく異なる独自の感染・増殖様式をもっている。宿主となる生物の細胞に侵入し、その機能をジャックして「ウィルス生産工場」に変えてしまう。ウィルスは一度に大量の子孫をつくり出す。
 ヒトの体には、いろいろなタイプの病原体や状況に対応できるよう複数の異なる仕組みが備わっていて、それらを組み合わせることで、防壁の一つを突破されても、別の防壁で食い止めるという「多段構え」になっている。
 日本では1899年から1926年までの間にペスト患者が2905人発生し、うち2420人が死んだ。その後は、北里柴三郎らの尽力によって国内発生はない。
 インフルエンザについて、平安時代の歴史書『日本三大実録』(862年)にあるのが最初。インフルエンザウイルスに感染すると、1~3日の潜伏期のあと、38度以上の発熱や全身倦怠感、頭痛、筋肉痛などの症状が現れる。その致死率は、世界平均で0.1%以下、日本では0.001%以下。ただし、患者が多数にのぼれば、決して軽視できない。
 最近、梅毒にひそかに流行しているようです。潜伏期があるので、まさか自分が梅毒だと思わないというケースが少なくない。それに、梅毒は百面相と呼ばれるほど、症状が多様。
 エイズは、これまで3200万人が死亡したと推定されている。結核、マラリアと並ぶ、世界三大感染症の一つ。しかし、今ではエイズの薬は、完全に治せなくても、進行を止めて一生発症させないようにすることができる。
 大腸菌の大部分は、非病原性の無害な腸内細菌。
 コロナウィルスは、2022年6月までの感染者が世界に5億4千万人をこえた(うち死亡者は633万人)。100年前のスペイン風邪に匹敵する。
 ワクチンを5回接種したのにコロナ陽性になった人が身近にいます。また、PCR検査が陰性だったので帰省してきた子どもからコロナをもらった家族もいます。まことにコロナ禍は厄介な存在です。いったい、いつになったら終わるのでしょうか...。
 それにしても岸田政権の「5類移行」はひどいものです。要するに、公費負担はやめる、あとは自己責任だというのです。軍事予算のほうは5年間で43兆円も使うというのに、国民の健康と生命を守るのは国の仕事ではないというのです。本当に許せない自民・公明政権です。黙って、投票所に行かなかったら、自公政権から殺されてしまいます。怒りの声を投票所に足を運んで一票であらわしましょう。
(2022年8月刊。税込1100円)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー