弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年3月26日

日本の土偶

日本史(古代)


(霧山昴)
著者 江坂 輝彌 、 出版 講談社学術文庫

縄文時代の土偶について写真とともに学ぶことができました。
日本の土偶は縄文時代の早期に始まり、日本列島全土でつくられていた。ただし、早・前期の土偶は、中国・四国・九州地方などの西南日本では一点も発見されていない。関東地方でも、前期の発見例はきわめて少ない。
前期の土偶に共通するのは、顔面部の眼・鼻・口・耳などの表現をまったく欠いていること。
縄文時代中期前半に、東京・八王子から神奈川・山梨・長野にかけて、自由調達・雄大豪壮な文様を施した、原始芸術の極致と言える土器がつくり出された。そして、土偶のほうも、母が乳児を横抱きにする土偶が発見されている。
『魏志』東夷伝の倭人のところに、壱岐・対馬・松浦などの西北九州に居住している人々が入墨して、それによって鮫(さめ)などの大魚を威圧しながら、潜水して魚介類を捕採していると書かれている。
縄文時代の貝塚は、単なるごみ捨て場ではなかった。あらゆる生霊に対する再生を願い、食糧の豊産を祈る場所であった...。
ところで、土偶って、その多くは意図的に破砕されていたことを、この本を読んで初めて知りました。
土偶は、遺跡一帯の場所を選ばず、どこからでも、無造作になげ棄てられるような状況で小破片となって発見される。まだ、この謎は解明されていないようです。精魂こめて製作したはずの土偶を、なぜこまかく打ち砕いて、投棄してしまうのか...。これには、女神を殺し、その身体から作物を生み出させようとしたという解釈が紹介されています。ええっ、これって本当でしょうか...。
この文庫本は、元は1990年に出版されたものです。その後の進展は反映されていないようですが、たくさんの写真とともに土偶について何となくイメージをつかむことができました。
(2018年2月刊。税込1155円)

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