弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2022年3月 1日

嘘はつかない、約束は守る

司法


(霧山昴)
著者 萬年 浩雄 、 出版 LABO

銀行員と弁護士は経営能力はない。これが著者の考え。どちらも、ちょっぴりだけ頭が良い。なので、にわか勉強をすれば、いっぱしの経営理論をぶつことができる。しかし、それが本当に実際の企業経営に役立つものなのか、疑問がある。私も大いに同感です。といっても、経営能力のある弁護士もいれば、銀行員もいるとは思うのです。一般論として、多くの弁護士は経営者に向かないのではないかと私も自分をかえりみて、そう思っているということです。たとえば、私は、岡目八目(おかめはちもく)というコトバのとおり、はたから見て経営状況に論評することはできます。でも、自分で実際に企業を経営してみろと言われたら、まったく自信がありません。無理だろうと思いますし、する気もありません。
同じことが、経営コンサルタントにも言える気がします。コンサルタントは自分でリスクを取らず、コンサルタント料さえもらえたらいいので、それなりのことを言えるし、言うでしょう。
でも、そのとおりやったら必ずうまくいかといったら、まったくその保障はないのです。それにしてもコンサルタント料のバカ高いことには、目をむいてしまいます。コンサルタントって、弁護士以上に「口八丁、手八丁」どころか、「噓八反」がまかり通っている気がしてなりません(すみません、間違った思い込みかもしれませんが、これが私のホンネなんです...)。
著者は福岡でも有数の法律事務所を率いていますから、私なんかと扱う案件とケタが2つも3つも違います。パチンコ店の企業再建で出てくる金額は、年商500億円に再び回復したというものです。口をポカンと空けてしまいます。
著者は、弁護士に経営能力がないと考えるのは、弁護士は「守りには強いが、攻めには弱い」からだとします。これには、いくらか違和感があります。私をふくめて、攻めには強いが、守りには弱い弁護士も少なくない気がするからです。
著者は、弁護士プロデューサー論を提唱していますが、これには異論ありません。
弁護士が何でも知っていると思うのはまちがい。まったく同感です。弁護士生活48年になる私ですが、世の中、いかに知らないことだらけなのか、いつも実感させられています。そこで、大切なのは、弁護士がいろんな分野の専門家を知っていて、それを依頼者に紹介して、ネットワークを広げてもらうことです。これなら、たいていの弁護士が私もふくめて出来ます。人脈があれば、いいのですから。
依頼者がなぜ法律事務所に足を運び、お金を出してまで弁護士に依頼するのか...。
それは、インターネットでは得ることのできない安心感と納得感を求めているからだ。
これにも同感です。インターネットによる相談に欠けているのは、これですよね。
実は、私はいつまでたってもガラケー人間なのですが、著者はケータイも使っていないようです。それには、ガラケー派の私でさえ、いくらなんでも...、と思いました。
著者は、弁護士になって10年までは、弁護士を天職と思っていたが、10年を過ぎると、しょせん弁護士は人間の欲望を処理しているだけではないかと、暗澹たる気分に陥ったといいます。いやいや、私は今でも弁護士は天職だと考えていますし、苦労してこの職業に就けて良かったと思います。
人間の欲望といっても、いろいろあるわけです。欲望を全否定することはできませんし、できるはずもありません。この欲望を適当に折りあいをつけていくことで人間社会はなんとか成り立っているわけです。そのとき、むき出しの暴力は論外ですし、口ゲンカで終始していても終わりが見えません。紛争解決のルールをつくって、それに従ってトラブルをおさめていくこと、そして、それによって事後(将来)のトラブルもそれなりにおさまっていくという見通しが得られるというのは、毎日を安心・安全に暮らすうえで不可欠です。このときに、弁護士は裁判所と同じく欠かせない存在だと思うのです。
福岡の名物弁護士と他称される著者の面目躍如のエッセイ集の第1巻です。いくつかの点で著者とは意見が異なりますが、企業法務を担う福岡最大手の法律事務所のボス弁としての活躍には大いに敬意を表しています。
LABOから贈呈していただきました。いつもありがとうございます。
(2022年2月刊。税込1980円)
 
 日曜日は、春うららかな陽差しをあびながら、庭仕事に精出しました。チューリップの芽がぐんぐん伸びています。覆っていた雑草を取ってやりました(まだ、全部ではありません)。
 紅梅に続いて、ようやく白梅が咲きそろいました。例年以上の時間差があります。
 まだ、明るいうちに(といっても夕方6時)、庭からあがって風呂に入り、いい気持になりました。ところが、風呂から出ると、猛烈なくしゃみの連発です。今年は花粉症がすごく軽いなと思っていたのですが、たちまちティッシュペーパーを払底させてしまいました。目もかゆくなっています。
 それにしても、ロシアの戦争は許せませんよね。軍事力ですべてを押し切ろうとする発想は許せません。ロシア軍は直ちにウクライナから撤退すべきです。ウクライナの人々の気持ち思い、また、連鎖反応を恐れて、暗い気持ちになりました。

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