弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年12月26日

三国志入門

中国


(霧山昴)
著者 宮城谷 昌光、 出版 文春新書

中国でもっとも多くの人々に読まれた小説は『三国志演義』。漢と明のあいだにあった三国時代の変遷、政争を扱った小説です。
私は、『三国志』よりも『水滸伝』のほうが、よりより胸がワクワクして好きでした。どちらも中学生のころに読んだのだと思います。なので、ダイジェスト版だったのかもしれません。
『三国志』には、劉備と関羽、張飛の三人が桃園で兄弟のちぎりを結ぶというシーンがあります。これも、史実とは違い、小説の世界のことのようです。
日本は中国から多くの制度や物を輸入したが、不思議なことに宦官(かんがん)と馬車は導入しなかった。
古代中国の戦場では兵車戦が大きな主役となっていたが、日本では歩兵戦と騎馬戦がおもになった。これは太平原のある中国と、山あり谷あり川ありというチマチマした地形での戦闘がほとんどだったことの違いによるものではないか。戦国時代の長篠の戦いも、それほど大きくはない川をはさんでの戦いでしたし、関ヶ原の戦いにも、現地に2度、私も行きましたが、平坦な土地はごくわずかしかありませんので、兵車が活躍できたはずもありません。
なぜ日本に宦官が登場しなかったのか、この本に答えはありません。ただ、明治までの日本の馬は去勢しないことで有名です。人間と馬は違いますが、なんだか似てませんかね...。
関羽を祀(まつ)る関帝廟(びょう)は、日本にも東西にあるそうです。関羽は武神だったのに、今では商売の神様になっています。
中国の美女は「国色(こくしょく)」といいます。国のなかで、もっともすぐれた容色のこと。
赤壁の戦い。208年に曹操と孫権が戦い、曹操軍が大敗してしまいます。さすがにスケールの大きな中国映画で、それを映像としてみました。
諸葛孔明(しょかつ・こうめい)は、私も大好きなヒーローです。実戦で活かせる兵法を考え出し、活用していったのです。兵糧不足と軍需物資の輸送のむずかしさに悩み、それを克服していったのでした。
三国志の世界を知ることは、宝の山に踏み込むようなものかもしれない。
中国モノの文学作品の第一人者による『三国志』の入門の手ほどきがされている新書です。
(2021年3月刊。税込1045円)

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