弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年7月19日

連星からみた宇宙

宇宙


(霧山昴)
著者 鳴沢 真也 、 出版 講談社ブルーバックス新書

事件のことや事務所運営で悩みをかかえているときには、宇宙の話に没入するのが一番です。そこには、何十年とかいう単位はありません。はじめから何万光年の世界です。もちろん個々の私たちがそんなに長く生きられるはずもありません。すべては脳内の、いわば妄想に等しい世界です。
さてさて、連星って何...。宇宙に存在する星々の、およそ半数は連星。連星は、ありふれた存在。星の質量が分かるのは連星のおかげ。連星になっていると、2つの星の質量を知る方法がある。また、ブラックホールの存在も連星によって確認できた。
連星とは、重心のまわりを公転しあう星。連星とは、あくまで2つの恒星が回りあっているもの。
シリウスのような1等星は、全天に21ある。このうち6つが連星。春の1等星である、おとめ座の「スピカ」、夏の夜空の、さそり座の「アンタレス」が連星。北極星は、三重連星。冬の代表的な星座であるオリオン座の1等星「リゲル」は4重連星。現時点で判明している最多の多重連星は7重連星。さそり座とカシオペア座にある。
星は、人間よりも、双子で生まれる確率が圧倒的に高い。連星は分裂してできたわけではない。生まれたときから連星だった。
太陽にしても、かつて兄弟の星がいたかも...。太陽から110光年先にある7等星は、年齢、質量、半径、表面温度、そして科学組成が太陽とほぼ同じ。だったら、地球に似た惑星があって、生命体がいたりして...。
太陽系は銀河の中心を2億年かけて1周する公転をしていて、太陽はすでに20回以上も公転している。
全天の肉眼で見える星の11%が二重星か、3つ以上の星が近寄っている。
太陽の寿命は100億年。現在、46億歳なので、一生の半分を終えたところ...。なんと、なんと、人間の100年の寿命とかいうのは、これに比べると、あっというま...でもありませんよね。
連星は、謎のX線源をつくり、通常ならけっして姿を見せないブラックホールの姿を暴き出す役割を果たした。連星がなかったら、人間は存在していない可能性がある。たとえば、硫黄、カルシウム、鉄などは、超新星爆発のときに合成される。
著者は断言する。もしも宇宙に連星がなかったら...、宇宙はかなりつまらない。
なーるほど、そうかも、いや、そうだろうと私も思いました。
(2020年12月刊。税込1100円)

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